【こども園の送迎バス事故】「運転手が見つからない」人手不足抱える業界の課題

東広島市で起きた認定こども園の送迎バスの事故で、バスのドライブレコーダーに事故の直前、運転手の男性が目をつぶるなどしていた様子が映っていました。業界が直面する安全管理の課題を探りました。

事故が起きたのは12月18日。77歳の男性が運転する認定こども園のバスが中央分離帯を乗り越えて対向車線を逆走。園児5人を含む12人が負傷しました。運転手は、この日「風邪ぎみ」と話していました。更に持病があり、毎日注射をしていたということです。そして、バスのドライブレコーダーが事故の直前、運転手が目をつぶるなどする様子を捉えていたことが分かりました。速度は、時速60km近くあり、ハンドルやブレーキ操作の形跡は確認されていません。

これは、三原市内のトンネルで撮影された映像です。中央線をはみだした大型トラックが対向車と衝突し、40代の運転手が死亡。警察は、死因は事故によるものではなく、病気だったとしています。

運転手の人手不足は深刻

Q「熱はどうですか?」

A「異常なしです」

Q「体調の悪いところはないですか?」

A「はい」

2台のバスで園児を送迎している広島市西区の幼稚園です。朝の出発前には、運転手の健康観察と車両の点検を欠かしません。しかし、子どもたちの命を預かる運転手の人手不足は深刻と言います。

■ちどり幼稚園 藤川要造 園長

「(運転手が)なかなか見つからないです。責任が重い。事故が起こった時に、子どもにケガさせたらどうするのかということで。中型以上の免許を持っている方は、本当少ないですし、他の業界に取られてしまいます」

幼稚園が単独で雇える人材が見つからず、2台のうち1台は派遣の運転手に頼っています。派遣会社は、「人手不足の中でも、安全管理を重視している」としています。

■日本総合サービス 広島支店 島田直樹 支店長

「新規で採用する場合は69歳までと決めていて、健康診断の結果を見ながら本人と話をしながら最長でも75歳までという定年を設けています」

幼稚園の送迎バスに、子ども用のシートベルト着用の義務はありません。しかしこの幼稚園は、安全面を考慮して3年前に設置。さらに、今回の事故を受け、新たな対応策を検討しています。

■ちどり幼稚園 藤川要造 園長

「バスの運転手が気を失ったということを想定して、子どもに対してどういう安全策を施すのか、リアルな訓練を実施したいと考えています」

幼い命を預かる送迎バス。取り返しのつかない事故を如何にして防ぐのか。運転手の人手不足がつづく今、模索が続きます。

【2023年12月20日放送】

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