26歳で過労死した医師の遺族らが「家族会」立ち上げ 「仕事で命を落としてはいけない」

医師の働き方の改善を涙ながらに訴える高島淳子さん(左端)と中原のり子さん(左から2人目)=20日午後、東京都千代田区

 甲南医療センター(神戸市東灘区)の医師で過労自殺した高島晨伍さん=当時(26)=の母淳子さん(60)ら過労死した医師の遺族が20日、「医師の過労死 家族会」を立ち上げ、東京都内で記者会見した。同日、厚生労働省に医師の働き方改革の推進を求める請願を提出。医師の過重労働をなくすため、今後も労働環境の改善を国などに働きかけ、講演などを通じて情報発信も行っていくという。

 同センター専攻医だった高島さんは昨年5月、自宅で自死した。西宮労働基準監督署は、亡くなる直前1カ月間の時間外労働が207時間50分に及んだとして今年6月に労災認定し、今月19日に労働基準法違反容疑で同センターの運営法人と院長らを書類送検した。

 家族会には医師だった家族を亡くした全国の4遺族が参加。高島さんの母淳子さんと、1999年に小児科医の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さん(67)が共同代表を務める。

 高島さんの兄(32)は自らも医師の立場から「医療と医師の健康をどう両立させるか、しっかり議論することが必要」と話した。治療法の勉強など事実上の業務が「自己研さん」とみなされる扱いを変えることや、医療従事者に労働法関連の研修を義務付けることなどを求めた。淳子さんは「患者のためにも医師が仕事で命を落としてはいけない」と訴えた。(竜門和諒)

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