日本の大きな難民問題“仮放免者”とは…難民問題に対して“無知”すぎる日本

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。12月12日(火)放送の「New global」のコーナーでは、日本の大きな難民問題“仮放免者”について取り上げました。

◆日本の難民認定率はたったの2%

世界で難民が急増するなか、上川外務大臣は「第2回グローバル難民フォーラム」に出席するべくスイス・ジュネーブを訪問。このフォーラムは4年に一度開催される難民支援の取り組み・アプローチを共有する場で、今回日本は共催国となっています。そこで上川外務大臣は「悪化の一途を辿る世界の人道状況の改善に向け、国際社会の団結と協力強化を呼びかけたい」と世界に向け発言していました。

一方、国内に目を向ければ難民に関する問題は山積しています。日本の難民申請者数は2023年1月~9月間で1万1,000人超。これは過去最多の2017年に迫る勢いですが、2022年の難民認定率は約2%。先進諸外国と比べて格段に低い状況です。

こうした現状に、キャスターの堀潤は「各国それぞれ事情があり、陸続きかどうかなど(地理的な)問題もあるから一概には言えないが、2%しか認定できないのはどうなのか」と疑問を呈します。

では、難民認定されなかった人々はどうなるのか。彼らは"仮放免”となり、働くことはできず文化的な暮らしを維持することが難しい状況になります。"帰国”という選択肢もありますが、多くの人は母国で迫害を受けていたり、さらには戦争や紛争、気候変動によって住む場所を失ってしまった人もいます。そして、仮放免が長引けば日本で生まれる子どもたちも増え、その子たちのルーツはどうなるのかなど、可視化されていない問題が数多くあります。

獨協大学特任教授の深澤真紀さんは、難民・移民家族と長年付き合いがあるそうですが、彼らの子どもたちにとっては日本の文化が全て。ゆえに国籍が日本にないことを知るととても驚き、同時に親の祖国に帰るとどんな目に遭うのかも知らず「自分のアイデンティティが持てないままの状態で宙ぶらりんのまま生きているということが多い」と案じます。

◆難民に関して無知すぎる日本

今回、堀は困窮する難民・仮放免者を支援するNPO法人北関東医療相談会・一般社団法人つくろい東京ファンドの大澤優真さんに話を聞いたところ、多くの仮放免者が生活に困窮しており、ホームレス化している方が続出。大澤さんらの調査によると22%の人が路上生活経験あり。しかしながら公的な支援は薄く、さらには支援団体の数も限られており、支援が行き届いていないのが現状。そうしたなか、大澤さんらは難民の現状を発信し続け、資金集めなどをおこなっているそうです。

こうした日本の状況に関しては、国連も"仮放免者=karihomensha”と英語で表現するなど問題視しているそうですが、堀が大澤さんに今、我々は何をすべきか尋ねたところ、とても興味深い返答が。

この1年間で難民のために行動を起こした人の割合は、日本は世界ワースト1位。しかし、これは難民に悪意を持っているわけではなく、例えばウクライナからの避難民へのサポートはとても手厚いものがあります。つまり、日本人は難民のことを知らない、気づいていないから行動に移していないだけで、知れば何かしようと動く人も出てくる、そう信じていると大澤さんは話していたそうで、堀は「僕もそう思います。この国も捨てたものじゃないので」と同意。

そして、難民のことを知らない、伝えられていない現状を嘆きつつ、誰にでもできる難民支援方法として、難民に関するイベントへの参加や周りの人への周知、難民イベントの企画や支援・ボランティアへの参加などを挙げます。

気候変動問題に取り組むFridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、「日本は気候変動に対して加害性がある国で、難民を出す原因になっている。だから、難民を受け入れることは当たり前にやるべき」と難民の受け入れにより力を入れるよう訴えます。

また、黒部さん自身、気候変動問題の講演会やイベントを数多く行っており、「そこに難民を絡めて企画していくこともできると思った」と自分にできることを発見し、行動に移すことへの意欲を見せていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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