冬の全国大会特集(12) バレーボール男子 大分南 3年生のリーダーシップが勝負のポイント 【大分県】

全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)に3年ぶり3度目の出場を果たす大分南。練習する体育館に柿原茂徳監督の声が響く。「リーダーもエースもいない。誰がこのチームを引っ張るんだ」。これまで赴任した高校で幾度も全国大会に連れて行った名将であっても、高校バレーボールの最高峰「春の高校バレーは別物」という。「びっくりするぐらい多い観客と、華やかなコートに浮つくようでは、あっという間に試合が終わる。そんな試合はしたくない」と話す。

県内の大会では戦力がそろい、優勝できるが、九州や全国のレベルでは通用しない。心技体がそろって、ようやく同じ土俵に上がれる。だからこそ、リーダーシップを取り、チームをまとめる選手を求めている。名指しすることはないが、その役割を担うのは嵯峨慎人と前畠怜和の3年生エースだ。柿原監督は「3年生が中心となって全員バレーで対抗するしかない」と2人に期待する。

エースとしての覚悟がにじむ前畠怜和

県予選が終わってから、1セット25点をどのような形、流れで取っていくのか意思統一をした。「サーブでどこの誰を狙い、どう崩すのか。事細かく決まりごとを決めて、すり合わせた」(柿原監督)。ただ、頭で理解できていても実戦になると体が動かない。そんな時に必要なのが声だという。「声を掛け合い、ポジティブな雰囲気をつくる。心が整えば、技がさえ、体が動く」と選手に説く。

今年度から外部のメンタルトレーナーに、月に1度指導を仰いでいる。成果は徐々に現れ、今は気持ちの乱れや好不調の波は少なくなった。あとは誰が先頭に立ち、流れを呼び込むかに尽きる。キャプテンの嵯峨は「強い覚悟を持って試合に臨みたい」、前畠は「受け身にならずチャレンジャーとして戦うだけ」と意気込みを語った。

3年ぶりの春の高校バレーに臨む

(柚野真也)

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