郵便料金値上げ

 なぞなぞだよ。〈ビンはビンでもポストにたくさん入っているビンってなーんだ?〉…もちろん、答えは「ゆうびん」だが▲実は「たくさん」とは言い切れない郵便離れが決断の一番の理由であろうことは想像に難くない。はがきや手紙の料金が来年秋にも値上げされる。人件費や燃料費の高騰も背景に郵便事業の収支がポストと同じ色になったという▲「寝耳にウオーターです」-たまたま聞いたラジオが常連投稿者の軽快な悲鳴を紹介していた。料金改定幅は3割超。「ハガキ職人」には痛い出費増になりそうだが、先ほどのお便り、はがきにしては到着が早い。ファクスで届いたか、それともメールか▲郵便の登場するヒット曲がいくつか浮かぶ。〈元気でいるか/街には慣れたか/友達できたか〉-さだまさしさんの「案山子(かかし)」は1978年の作品。今度いつ帰る-と、ふるさとを離れたきょうだいに語りかける兄ちゃんの手紙は110円に▲槙原敬之さんの「遠く遠く」は92年。この街で輝いてみせるよ、と懐かしい同級生に心で誓って「欠席」にマルをつける〈同窓会の案内状〉は往復はがきだと170円か▲値上げの報に触れて郵便ならではの温かさを改めて思った。この一年、数えるほどしかポストに用がなく、年賀状の宛名書きもこれからだけど。(智)

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