日本企業に再び賠償命令 徴用工訴訟で韓国最高裁

ソウルの韓国最高裁前で横断幕を掲げる、韓国人元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員の訴訟の原告遺族ら=21日(共同)

 【ソウル共同】韓国最高裁は21日、植民地時代に強制労働させられたとして韓国人元徴用工が日本製鉄(旧新日鉄住金)、元朝鮮女子勤労挺身隊員らが三菱重工業にそれぞれ損害賠償を求めた訴訟2件の上告審で、両社の上告を棄却した。両社に計11億7千万ウォン(約1億3千万円)の賠償を命じた一、二審判決が確定した。元徴用工らによる戦後補償訴訟で最高裁が判断を下したのは2018年11月以来、約5年ぶり。

 18年判決は両社に賠償を命じ、日韓関係が急速に冷え込むきっかけとなった。両社は今回も、1965年の日韓請求権協定で解決済みとする日本政府の立場から賠償支払いを拒む見通し。尹錫悦政権は、韓国政府傘下の財団に企業の賠償支払いを肩代わりさせる今年3月発表の解決策に基づき、早期決着を図りたい考えだ。

 最高裁は、強制動員被害者の慰謝料請求権は日韓請求権協定の適用対象外とした原審判決に誤りはないと指摘。原告らには18年判決まで権利を行使できない理由があったとし、消滅時効の成立時点に関する判断を初めて示した。

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