高齢化の進展などで需要が高まっている在宅ケアの充実に向け、山形市内を中心とする若手の訪問診療医や介護士、薬剤師らが多職種連携グループを立ち上げた。先進地の事例などを学ぶフォーラムを先月初めて開催。持続可能な地域包括ケア体制の確立を目指している。
高齢化や価値観の多様化で、病気を抱えながらも「住み慣れた環境で自分らしく過ごしたい」という、在宅ケアのニーズは、今後一層の拡大が見込まれる。多職種連携グループ「morel(モアル)」は、医療、介護などの関係者が一堂に会して取り組みを共有し、将来を展望する場をつくろうと、訪問診療クリニックやまがた(同市)の奥山慎一郎院長らの呼びかけで設立した。30~40代を中心に村山地域の23人が名を連ね、グループ名は「~もある」として、選択肢や可能性を広げようとの思いを込めた。
連携強化の機運醸成を図り先月23日、山形市の山形国際交流プラザで「県在宅医療推進フォーラム」を開き、医療関係者やケアマネジャーなど約130人が参加した。北海道岩見沢市周辺で地域包括ケアの在宅医療を推進する「ささえるクリニック岩見沢」院長の永森克志氏が講演した。
永森氏は、夕張市の医療再生に携わった経験を振り返り「病気と『戦う医療』から、生活を『支える医療』に需要がシフトしつつある」と分析した。クリニックの患者とスタッフ、地域住民が交流を育む様子を紹介し、「楽しみながら働ける環境づくりが大切」と強調。「率先して汗を流せるリーダーになってほしい。その姿勢が周囲を巻き込む原動力となり、いずれ自分の幸せとして返ってくる」と呼びかけた。
引き続き県内の医師、訪問看護事業者、薬剤師など5人が公開討論を行い、在宅ケアの現状と課題を共有した。フォーラムに先立ち奥山院長は「この先10年を見据えて連携を発展させたい。学んだ内容をそれぞれの地域で広めてほしい」と語った。morelは来年度以降もフォーラムを企画するなど、今後活動を拡大していく方針だ。