【有馬記念】6年前の忘れもの タスティエーラの鞍上R.ムーアが挑む“イヴのリベンジ”

タスティエーラ/2023年日本ダービー(C)Toshihiko Yanagi

今年も多数のGI馬が集結した第68回有馬記念(12月24日/GI、中山芝2500m)。例年、外国人騎手が好戦を演じるが、今年は5名の外国人騎手が参戦予定。グランプリらしく華やかな顔ぶれとなる。

中でも並々ならぬ思いで挑むのがタスティエーラ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)に跨るR.ムーア騎手だろう。

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■再来日のR.ムーア

ムーア騎手は11月9日に同11日から12月5日までの短期免許が交付されたが、19日に落馬負傷。当日のマイルCSを乗り替わり、23日に自ら免許取り消しを申請して治療のため帰国した。しかし、有馬記念での騎乗が浮上し、再来日する運びとなった。

同騎手は帰国後の12月1日、IFHA(国際競馬統括機関連盟)が発表した、2023年ロンジンワールドベストジョッキーを受賞。2014、16、21年に続く通算4度目の受賞となり、L.デットーリ騎手に並ぶ最多タイを記録。

その後、12月5日の香港国際競走へ参戦し、主戦を務めるA.オブライエン厩舎のルクセンブルクを香港カップで2着、ウォームハートを香港ヴァーズで3着へと導いた。

来日時はBCターフで騎乗停止処分を受け、すったもんだがあって成績も低調だったが、帰国を選択したことで心身ともに傷はすっかり癒えた様子だ。

堀厩舎の管理馬でJRA通算41勝を挙げ、芝重賞に騎乗した際は【9.2.4.13】勝率32.1%をマークするムーア騎手。他厩舎での勝利数は軒並み“1桁”という成績を見れば親交の深さは一目瞭然。帰国後すぐの11月29日に有馬騎乗の発表があったことから、免許取り消し時にすでに話がついていた可能性もありそうだ。

■2017年の有馬記念はサトノクラウンに騎乗

ムーア騎手の有馬記念騎乗は今回が5回目。2017年にはタスティエーラの父サトノクラウンに騎乗。この年の有馬記念も12月24日のクリスマスイヴだった。

当時、ジャパンCに出走予定だったサトノクラウンの追い切りで、本馬に騎乗しないムーア騎手が跨り、少し話題になった。サトノクラウンが香港ヴァーズで勝利した際に、2着馬に騎乗していたのがムーア騎手で、その強さを目の当たりにして「ぜひ乗ってみたい」と関心を抱いていたことがきっかけだ。ジャパンCでは別の馬に騎乗するため、サトノクラウンへの騎乗は叶わなかったが、有馬記念でついにコンビ結成。しかし、結果は気難しさを見せて13着に惨敗してしまった。

惚れ込んだ馬で結果を残せず苦汁をなめたイヴから6年。

今年はそのサトノクラウンの初年度産駒にしてダービー馬へと輝いたタスティエーラに騎乗。同馬は重馬場かつ激流の消耗戦となった皐月賞を前々で運んで2着と、先行勢が総崩れする中、ただ1頭粘り込んだようにロンスパ戦は大得意だ。父サトノクラウンは宝塚記念を勝利しており、母父マンハッタンカフェは有馬記念覇者と、まさにグランプリ血統。

イヴ決戦の雪辱を果たす舞台は整った。今年は6年前の忘れものを取りにきたムーア騎手に夢を託したい。

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(Asuka.F/SPREAD編集部)

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