A24×アリ・アスター×ホアキン・フェニックス

『ヘレディタリー／継承』『ミッドサマー』で知られるアリ・アスター監督が最新作映画『ボーはおそれている』（日本公開：2024年2月16日）をひっさげ、PRのため約3年ぶりに来日。12月20日に都内映画館で『ボーはおそれている』のQ&A付き試写会を実施した。

「日本がPR活動最後の地点になることが嬉しい」

先日開催されたジャパンプレミアでは約500席のチケットが2分で完売するなど、あらためて日本での人気ぶりを印象付けたアリ監督。日本初となるこのQ&Aイベントも、客席は熱狂的ファンで埋め尽くされた。

まずアリ監督は「僕は日本が大好きなので、ここ日本がPR活動最後の地点になることが嬉しい。この作品は他の国よりも日本の観客の皆さんの方が理解をしてくれると思っている」と日本公開への期待を述べた。

「毎回どんな風に人の頭部を滅茶苦茶にしてやろうかと妄想している」

前回の来日ですっかり親日派になったというアリ監督。今回の滞在を振り返り、「日本は世界の中でも一番好きな国。前回に比べて今回は長く滞在していて、京都、直島、登山はできなかったけれど富士山にも行った。そして1週間東京で過ごし……日本をエンジョイ中！」と嬉しそうに報告した。

そして観客とのQ&Aに突入。本作が生まれた背景について聞かれると、「『ボーはおそれている』は不安を抱えた男を描いたコメディでもある。これが狙い。アンビバレンツ、つまりは物事が決められず優柔不断である様や不安を描く、そんな作品を作りたかった。観客を物語に引き込み、考えさせた末に……とんでもない結末がある。これは僕が長年やりたかったことなので、本作で念願叶って嬉しい」と明かした。

これまでのアリ監督作には強烈な死体損壊描写もあるが、「どんな風に死体をめちゃくちゃにしようかと常に考えている。僕の映画には首切断の描写も多いけれど、これも、とてもやりがいのあること。毎回どんな風に人の頭部を滅茶苦茶にしてやろうかと妄想していて、そのたびに新しいアイデアが3つぐらいは浮かぶ。今回は控えめだったよね」と不気味な笑顔を見せる。

あらに、本作の大きなテーマである“家族”について問われると、「僕にとって家族とは……わずらわしいもの。終わりなき義務感」と持論を吐露した。

「この“仕掛け”について、僕が話すのは日本がはじめて」

本作は、ストップモーションアニメ映画『オオカミの家』で知られるチリのクリエイターコンビ、クリストバル・レオン＆ホアキン・コシーニャとコラボしたシュールなアニメ表現も見どころ。

アリ監督は「僕は『オオカミの家』が大好きで、僕から彼らに声をかけた。僕の絵コンテを基に彼らにもアイデアを出してもらいながら、彼らの美しい絵に加えて映画全体のトーンとの一貫性を保つべく何度もディスカッションした。彼らは当該シーンに誇りを持ってくれていて、僕自身も今回のコラボで学ぶことが多かった」と胸を張り、「いつか自分もアニメーション映画を撮ってみたいと思うようになった」とイマジネーションを刺激されたようだ。

最後に、アリ監督は「この仕掛けについて、僕が話すのは日本がはじめて。ここだけの秘密の話にしてほしい」と前置きしながら、この場に集った観客だけに、これまで全く語っていなかった“とある仕掛け”を解説。観客を深く頷かせながら、「もしこの映画を気に入ってくれたら、この映画は絶対に観るべきだと多くの人たちに伝えてほしい。そして1回だけではなく2回くらいは観てほしい」と、日本での『ミッドサマー』超え特大ヒットを祈願していた。

『ボーはおそれている』は2024年2⽉16⽇（金）より全国公開

A24作品『Ｘ エックス』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年1月放送