「ジャニーズ在籍確認できない」門前払いされ続けた救済 「地獄のようだった」…22日に事務所と面会へ

10月に被害者救済委員会から男性に届いた、補償対象外を告げるメール。「当委員会では取り扱うことはできず」「所属されていたことの確認がとれておりません」などの文言が並ぶ

 旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長(2019年死去)による性加害問題を巡り、社名変更した「SMILE-UP.(スマイルアップ)」が設置した被害者救済委員会は今月から、在籍確認ができていない被害申告者にも、今後の具体的な手続きの案内を始めた。神奈川県小田原市に住む男性(55)もその1人。22日に事務所側と初めて面会する。これまで何度も門前払いをされてきた。「所属の有無で線引きされ、被害の事実さえもなかったことにされた。地獄のようだった」

◆「撮影見学に来ないか」…その夜、合宿所で

 18歳の時、役者を目指して履歴書を送った。劇団に所属していた中学生の頃、喜多川氏の手がけた映画に出演したことにも触れた。「川崎のスタジオで撮影をしているから、見学に来ないか」。本人からの電話で、すぐにタクシーに飛び乗った。

 テレビや雑誌で見ていたスターたちが、目の前にいた。撮影終了後、ジャニーズJr.が寝泊まりする「合宿所」と呼ばれたマンションで、みんなですしを食べ、時間を忘れて語り合った。

 その夜。案内された部屋のベッドで寝ていると、下半身に違和感があった。目を開けると、そこに喜多川氏がいた。「気持ち悪さに、体をひねることしかできなかった」。翌朝、逃げるように合宿所を飛び出し、自宅近くの河川敷で何時間も泣いた。

 あれから36年。悪夢が頭から離れたことはない。役者になる夢も結局、諦めた。

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