残留はスパのみ。変貌を遂げる2024年TCRヨーロッパ全6戦のカレンダー発表。18歳の新鋭も初参戦へ

 欧州域内最高峰のリージョン選手権、TCRヨーロッパ・シリーズが大変貌を遂げる2024年のカレンダーを発表。前年度より残留するのはベルギーのスパ・フランコルシャンのみという大幅に変更された日程と開催地により、4月から9月の間に全6戦開催の短縮スケジュールを公開した。

 その同シリーズには、今季2023年に南米大陸のサウスアメリカ・シリーズで初のチャンピオンに輝いた新鋭イグナシオ・モンテネグロ(スクアドラ・マルティーノ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の参戦も発表され、新たにJASモータースポーツの開発ドライバーにも指名された18歳は、シリーズ相互提携のプライズもありTCRスペインでも新型FL5をドライブする。

 実に1999年のフォーミュラ・ニッポン以来、トム・コロネル(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が24年ぶりのチャンピオンタイトルを獲得した2023年のTCRヨーロッパに対し、来季2024年はポルティマオ(ポルトガル)、ポー市街地(フランス)、ハンガロリンク(ハンガリー)、ポール・リカール(フランス)、モンツァ(イタリア)、そしてカタルニア(スペイン)がスケジュールから外れることが確定。

 新年度は4月下旬にヴァレルンガ(イタリア)で開幕を迎えると、そこからゾルダー(ベルギー)に向かい、夏休み前にザルツブルクリンク(オーストリア)とスパでレースを開催する。しかし休み明けはブルノ(チェコ共和国)とバレンシア(スペイン)のわずか2戦を残すのみでシリーズはフィナーレを迎える。

「主にふたつの理由から、スケジュールを7戦から6戦に減らし約5カ月としたコンパクトなスケジュールとすることにした」と説明するのは、シリーズプロモーターを務めるパウロ・フェレイラ。

「そのひとつめはランニングコストを削減することであり、ふたつめがポルティマオで(3月に)開催される『TCRワールド・ランキング・ファイナル2023』や、バレンシアでの『FIAモータースポーツ・ゲームス』など、他のTCRイベントに実力派の強豪エントラントが出場できるようにすることにあった」

 各週末のフォーマット自体は前年度が踏襲され、2回のフリー走行セッション、2部構成の予選セッション、そして2ヒートが争われ、予選トップ10がレース2のリバースグリッドを構成。ただし新機軸として、先日にもアナウンスされた特定10車種に対する“Gen-1トロフィー”が賞典リストに加えられる。

2023年は5月にTCRワールドツアーと併催されたスパ・フランコルシャン戦は7月に移動
今季2023年に南米大陸のサウスアメリカ・シリーズで初のチャンピオンに輝いた新鋭イグナシオ・モンテネグロ(スクアドラ・マルティーノ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)

■プログラムの一環としてモンテネグロがFL5シビックをドライブへ

 そんな短縮版の新年度に向け、南米大陸でFK8シビックRをドライブし年間5勝と7回の表彰台でタイトルを獲得したモンテネグロの参戦も発表された。

 新たにJASモータースポーツとALMモータースポーツの共同ジュニア人材プログラム(ドライバー・ディベロップメント・プログラム/DDP)の一環として、TCRヨーロッパとTCRスペインの双方でFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握ることが決まった18歳は、TCRイタリアのフロントランナーであるレヴェンテ・ロソンツィとともにALMのチームメイトとして欧州を転戦することになる。

「まず最初に、ヨーロッパでキャリアを続けるためにJASモータースポーツのドライバー育成プログラムとALMモータースポーツのプログラムに参加するという、僕のこの目標を達成するのを手伝ってくれたすべての人々に感謝したいと思う」と謝意を述べたモンテネグロ。

「世界共通のTCRコンセプトも今回の挑戦でとても役に立つ。TCRサウスアメリカで僕がドライブしたクルマの延長上にあるモデルでレースをすることで、すべてがよりイージーになるからね。アルゼンチンの色を最高レベルで表現できるよう努めたいと思っているよ」

 これまで主にヒョンデ・エラントラN TCRで戦ってきたロソンツィも、来季2024年はヨーロッパ・シリーズと並行してTCRイタリアに参戦する。

「このDDPは、僕にプロのレーシングドライバーになる方法について多くのことを学ぶ機会を提供してくれる。クルマ、チームワーク、自己管理と準備について学習し、その経験からできる限りすべてを引き出すつもりだ」とロソンツィ。

「この機会に非常に感謝しているし、初めてホンダをドライブするのが待ち切れないね!」

 そのモンテネグロが栄冠を勝ち獲ったTCRサウスアメリカ・シリーズは、暫定ながら全10戦構成のスケジュールを公開。シーズンはブラジルで4回の大会が行われ、最初の大会はエンデュランス戦を予定し、さらにウルグアイで2戦、アルゼンチンで5戦を実施し、ブラジルでの最終レースとウルグアイでの最初のレースはどちらも『FIA TCRワールドツアー』併催戦となる。

新たにJASモータースポーツの開発ドライバーにも指名された18歳は、シリーズ相互提携のプライズもありTCRスペインでも新型FL5をドライブする
ミラノ郊外の工業団地に本拠を置くJASモータースポーツでDDP入りを発表したレヴェンテ・ロソンツィ

■TCRヨーロッパ・シリーズ 2024年カレンダー

ラウンド/開催日/開催地
Rd.1/4月19〜21日/ヴァレルンガ(イタリア)
Rd.2/5月17〜19日/ゾルダー(ベルギー)
Rd.3/5月31〜6月2日/ザルツブルクリンク(オーストリア)
Rd.4/7月4〜6日/スパ・フランコルシャン(ベルギー)
Rd.5/9月6〜9日/ブルノ(チェコ共和国)
Rd.6/9月27〜29日/バレンシア(スペイン)

TCRサウスアメリカ・シリーズ2024年カレンダー

ラウンド/開催日/開催地
Rd.1/4月12〜14日/ブラジル(耐久)※
Rd.2/5月24〜26日/ブラジル※
Rd.3/6月14〜16日/ブラジルリンク※
Rd.4/7月19〜21日/ブラジル(WT)※
Rd.5/8月2〜4日/ウルグアイ(WT)
Rd.6/8月23〜25日/ウルグアイ
Rd.7/9月13〜15日/アルゼンチン
Rd.8/10月4〜6日/アルゼンチン※
Rd.9/11月7〜9日/アルゼンチン
Rd.10/11月29〜11月1日/アルゼンチン
※はTCRブラジル併催

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