【有馬記念/全頭診断】スルーセブンシーズに「4.1.2.0」 人気一角は「0.0.0.16」で“消し”も

スターズオンアース/2022年オークス(C)Toshihiko Yanagi

今週は中山競馬場で、第68回有馬記念(GI、芝2500m)が行われる。イクイノックス引退は残念だが、その影響を感じさせない豪華メンバーが集結。混戦ムード漂う暮れのグランプリに向けて楽しみは尽きない。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬16頭の全頭診断を行う。

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■有馬記念2023 出走予定馬全頭診断

・1枠1番 ソールオリエンス

この馬で強調したいのは皐月賞。すさまじい切れ味で勝利した一戦だが、有馬記念と皐月賞馬の相性は抜群だ。当レース出走馬中、皐月賞で最先着かつ馬券内の3歳馬は【3.2.1.0】。ボルドグフーシュが突っ込んできた昨年のような外差し馬場なら、皐月賞の再現も考えたいところだ。

・1枠2番 シャフリヤール

海外遠征帰りで臨む1頭。香港はアクシデントで出走することができず、陣営の青写真が狂ったのは確かだ。ダービー馬の実績が示すとおり、広いコースが得意な馬。高速馬場適性が発揮されない舞台でもあり、上位進出は厳しいものになりそうだ。

・2枠3番 ホウオウエミーズ

前走福島記念で待望の重賞勝ち。キャリアを積むごとに良さが出ており、小回り適性の高い1頭と言える。ただ、ここはさすがに相手が強い。時計のかかる馬場は合う印象も、上位進出へのハードルは高そうだ。

・2枠4番 タイトルホルダー

3年連続で当レースに出走する馬。これまでGI3勝と実績は申し分ないが、秋2戦は昨年の強さと比較すると物足りなく映ってしまう。冬の中山では【0.0.0.3】と不振傾向。今年は過去2年より展開利がありそうだが、近走成績から押さえ程度にとどめたいところだ。

・3枠5番 ドウデュース

叩き2戦目で迎えた前走ジャパンC。凡走の天皇賞・秋から4着までパフォーマンスを上げており、使われるたびに良化傾向がうかがえる。国内の右回りでは【3.1.1.0】と大崩れなし。日本ダービーや開幕週の京都記念を見るより高速馬場適性が高く、時計のかかる馬場適性がどうかもノーマークにはできない1頭だ。

・3枠6番 ディープボンド

一昨年のこのレース2着馬。中山適性は一定のものがあるが、近年は天皇賞・春に好走が集中している。今秋以降はやや精彩を欠く印象。3000m超ではトップクラスも、この条件では評価を上げられない。

・4枠7番 アイアンバローズ

前走ステイヤーズSを勝利した馬。長距離適性は申し分ないが、緩い流れを前々で押し切っており展開が向いた側面は否めない。当レースで凡走が目立つステイヤーズS組かつGIにおける良績にも乏しく、連続好走は至難の業と言える。

・4枠8番 ライラック

戦績が示すように、小回り適性が高い馬。重賞での好走は中山や阪神内回りに集中しており、舞台適性そのものは悪くない。ただ、今回は牡馬混合のGI。日経賞では勝ち馬に大きく離されており、この条件での上位進出は難しいか。

・5枠9番 ヒートオンビート

芝2500m重賞で好走多数。距離適性の高さには目を見張るものがあるが、GIを意図的に避けたローテは気になるところだ。強豪相手の経験値が少なく、GI馬がひしめく状況で互角の戦いをするには厳しいか。

・5枠10番 ジャスティンパレス

6番人気まで評価を落としていた前走天皇賞・秋。それでも上がり3F最速で2着と、距離不足と思われていたなかでレコード決着を好走した。今年積み重ねた実績は最上位。今回は【0.1.0.2】の中山替わりで条件がベストとは言い難いものの、冬の中山芝はホープフルS2着があり、昨年とは馬が違う印象から昨年のリベンジを警戒したい。

・6枠11番 ハーパー

近走は牝馬限定GIで連続好走。堅実な走りが身上の馬だが、勝ち馬とは離されるレースが目立っている。今回は自身初の中山コース。小回り向きの機動力には疑問が残り、好走へのハードルは高い印象だ。

・6枠12番 ウインマリリン

今年に入り馬券外が続く馬。ピークアウトの声も囁かれるが、当舞台の日経賞ではGI好走馬相手に勝利を収めている。スクリーンヒーロー産駒は中山芝2500m重賞で【3.1.1.1】。ジェンティルドンナやリスグラシュー、クイーンズリングなどラストランで激走する牝馬が多い当レースで最後のひと花を咲かせる可能性は警戒したい。

・7枠13番 タスティエーラ

ぶっつけ本番の前走菊花賞は2着。勝ち馬とは大きく離されたものの、皐月賞、日本ダービー、菊花賞と三冠すべて連対は立派な成績と言える。右回りは【1.2.0.0】と連対を外していない馬。中山では常に人気以上の着順で走っており、有力馬に後方待機組が多い今年のメンバーを踏まえると、馬場傾向次第では戴冠も近づいてくる1頭だ。

・7枠14番 プラダリア

前走京都大賞典を制した馬。芝2400m適性が高く、ベスト条件も広いコースなのだろう。翻って、今回は経験のない中山替わり。GIの壁にぶち当たる現状から、ここでの苦戦は免れられないか。

・8枠15番 スルーセブンシーズ

今年に入って覚醒を遂げた馬。宝塚記念2着、凱旋門賞4着と近2走は世界を股にかけて大崩れがない。当レースと好相性の父ステイゴールド系に加えて、この馬自身も中山芝は【4.1.2.0】と抜群の安定感。凡走のない冬競馬、前走から2キロの斤量減も含めてこの舞台でも軽くは扱えない。

・8枠16番 スターズオンアース

前走ジャパンカップは3着と好走。デビューから馬券外が一度もなく、安定感に関しては現役ナンバー1と言って差し支えなさそうだ。とはいえ当時は一頓挫後の好走。そこから間隔が詰まることの反動を考えないわけにはいかないだろう。過去10年の有馬記念において、中山芝重賞未勝利の父キングカメハメハ系は【0.0.0.16】。この条件で中心視するには躊躇してしまう。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2023年12月21日 18:07公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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