和太鼓、矢掛・小田小の伝統に 地元団体から継承 練習打ち込む

寄贈された和太鼓で練習する小田小5、6年児童=11月、同小

 岡山県矢掛町小田の小田小は、かつて地域で活動した和太鼓グループから約10年前に贈られた12張りの太鼓を引き継ぎ、毎年5、6年生が練習に打ち込んでいる。今年も3カ月かけて曲を覚え、学習発表会で披露した。児童らは「小田の伝統になるよう太鼓を打ち、つないでいきたい」と頑張っている。

 太鼓は「小田武荅(むとう)太鼓」が使っていた。秋祭りのお囃子(はやし)を継承しようと1991年に結成され、小学生~高校生を中心に約20人が参加。町を代表する演奏集団として知られるようになったが、後継者不足もあり15年間で活動を休止した。

 奏者で代表だった山部泰久さん(73)=同町=が「子どもたちのために役立ててほしい」と2012年に寄贈。以来、学習発表会で高学年が演奏している。

 指導は、岡山市の民謡歌手・田中みずほさんが担当。毎年9月に学校を訪れ、初めて和太鼓に触れる5年生に打ち方から教える。今年の演奏曲は祈り、収穫、祝いの3部で表現する約15分のオリジナル曲「村まつり」。児童約30人は、各部の情景に合わせ、強弱をつけたり踊るようにたたいたりと、本番の11月には連日のように練習を重ねた。

 新型コロナウイルスの影響で今年も地域住民に披露する機会はなかったが、片岡聖子校長は「太鼓を通して『地域の歴史を担っている』という自覚を感じる」と話す。6年の男子児童(12)は「皆の動きがそろうと、とても大きくきれいな音が響く。これからも小田小で太鼓の音をつないでいきたい」と張り切っている。

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