1月から浜松市の行政区が7区から3区に 準備が進む中で表面化する不安と課題

浜松市では来年1月1日から行政区が7区から3区に移行されます。再編を目前に見えてきた現状と課題とは。

Qこちらは今何を?

担当者:
「来年1月に行政区の再編が行われるので、住所を変更して印刷している」

今年もあと10日。

浜松市に着々と迫っているのが、行政区再編です。

浜松市では、来年1月1日から現在ある中区・東区・西区・南区・浜北区・北区・天竜区の7つの行政区が、中央区・浜名区・天竜区の新3区に移行されます。

浜松市の杉森印刷では、11月中旬から住所変更のための依頼が徐々に増加。

名刺や伝票など、大量の印刷物がすでに新住所へ。

作業は終盤を迎えています。

担当者:
「ちょうど今、12月の半ばくらいがピークで、印刷機の方もフル稼働で印刷している状況。」

Q工場の稼働時間、機械が回っている時間も延びている?

「生産が間に合わないので、残業して間に合わせるという感じ」

住民サービス低下の不安

鈴木康友前市長の肝いり案件として、10年にも及ぶ長い道のりを歩んだ浜松市の行政区再編。

少子高齢化が進む中、区役所の削減などにより、行政運営の効率化を図ることで、市政の機動力が向上するほか、将来的には6億円規模の人件費削減も期待されています。

しかし、市民からは…。

市民:
「サービスがどうしても低下するじゃないかと思うけどね」

街から聞こえた「市民サービスの低下」への懸念に、市の担当者は…。

市の担当者:
「市民サービスは低下させないというところが市議会での議論でも前提条件だったから」

浜松市によると、3区になることで、廃止となる4区役所については、「行政センター」へと名称が変わるものの、これまでと同じ場所で同じサービスを提供。

郵便番号や住所の番地なども従来通りで、戸籍や住民票、運転免許などの住所変更手続きも必要にはなりません。

区の数を減らすことで組織内のスリム化を図りつつ、窓口の数を維持することで、行政対応の質は担保する計画です。

年をまたぐ年賀状についても、新旧どちらの区名でも、送付できるといいます。

市の担当者:
「なるべく市民の手間を煩わせないことが私どもも目標でやってきたので、極端な話すると市民の方、なにも起こっていないというような形で1月1日を迎えることができればそれが一番いいのかなと思う」

市議会議員定数はどうする?

そして、今も議論が続いている大きな問題があります。

それが市議会議員の定数についてです。

現在、浜松市議会の定数は46人。

一部市民や議員からは、「行政コスト削減のため議員も身を切るべき」だとの声があがる一方、定数が減ることで、懸念の声も出ているといいます。

市民:
「(市議会の)人数が減っちゃうと、市民の意見を集約、反映しづらくなっちゃうので、そういったところが心配」

削減か維持か。

市議会の議会改革検討会議は、2027年に予定される次の市長・市議選に向けて議論していて、有識者に意見を求めるなどして、再来年5月までには方針を決めるとしています。

自民党浜松 加茂委員長:
「(削減について)意見がどちらかどちらか一方に集約されていることは現状ない。市民の声も聞いて、最終的に皆さんの共感が得られるような議員定数にしていきたい」

さらに、削減・維持のいずれにしても新3区に議員をどう配分するかは課題となります。

新3区では、中央区の人口が60万人を超える一方、浜名区では15万人強、天竜区では2万5000人あまりと、大きな規模の差が生まれることに。

仮に現在の7区の定数配分で振り分けた場合、中央区・浜名区の2区の議員一人あたりの人口が天竜区に対し、9000人程度多い状況となってしまうのです。

自民党浜松 加茂委員長:
「行政に市民の声を届ける我々議員の仕事をどのように担保していくのか。議会の在り方も選挙区も大きく関わってくると思うので、これから重要な議論を進めていかないといけない。」

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