風呂場でウトウトは「眠り」ではなく「意識を失っている」 怖い「ヒートショック」…温度差に注意

寒い日に気をつけたいのが「ヒートショック」です。一度は耳にしたことがある方も多いと思いますが、実はこの「ヒートショック」、とても身近で、命に関わる重大なものなんです。

急激な温度変化で体にダメージ

とやまクリニック 阿部岳文院長:「気温の変化が激しいと血圧の変動が大きくなるので、特に気温の変わりやすい11月~2月辺りがヒートショックの最も多い時期となる」

「ヒートショック」とは、急激な温度変化により、体がダメージを受けること。温度差によって血圧が急激に上がったり下がったりすることが原因で、意識障害や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす恐れがあります。

救急搬送の8割が高齢者

静岡市消防局救急課 伊藤剛史消防司令指導救命士
「毎年300人程度がヒートショックを疑う事案で救急搬送されています。これまでの統計では65歳以上の高齢者が8割を占めている。お年寄りの方は特に注意が必要」

静岡市消防局によりますと、例年この時期になると、風呂場で調子が悪くなる人が増加するといいます。その多くは、「ヒートショック」が原因とみられ、意識を失い、浴槽内で溺れてしまったと思われる事例も少なくないそうです。

【注】静岡市消防局(静岡市・島田市・牧之原市・吉田町・川根本町 人口86万人エリア)

風呂場が危険なワケは

なぜ、風呂場が危険なのでしょうか? 静岡市内のクリニックで聞きました。

とやまクリニック 阿部岳文院長:「気温差が大きい環境で特に起こりやすい。具体的には冬の風呂場だとか、脱衣所、トイレ。暖房の効いた暖かいリビングから、冷えた風呂場、脱衣所に移動する際には、急に血管が締まるので、血圧が上がりやすくなる。そういった状況で、暖かい風呂に入ると、今度逆に血管が開くので血圧が下がる。そういった血圧の上がり下がりによって、体に負担がかかってヒートショックが起こる」

お風呂に入ると「ウトウト」してしまうという人もいるのではないでしょうか? 実はこれがヒートショックの現象の1つだといいます。お風呂でウトウトしてしまうのは、「眠くなっている」のではなく「意識を失っている」のです。

特に65歳以上の高齢者は、気温の変化で血圧が大きく変動し、体温調節をする機能も非常に落ちているため、注意が必要だといいます。

対策は…

対策はあるのでしょうか。

とやまクリニック 阿部岳文院長:「できるだけ温度変化が少ない環境づくりをするというのが大事だと思う。具体的には脱衣所や風呂場を事前に暖めておくこと。あと風呂の温度は42℃を超えてくると、逆に血圧が上がって体に負担がかかるので、ややぬるめの38℃~41℃くらいで入るのが大事」

高血圧・糖尿病などはヒートショックの可能性高い

高齢者に多いと言われる「ヒートショック」ですが、若い人も例外ではありません。

とやまクリニック 阿部岳文院長:「高齢者だけではなく、若い方でも高血圧であったり、糖尿病といった、動脈硬化があるような方は、特に血圧の変動が大きくなるので、どうしてもヒートショックの可能性は出てくると思う」

今夜も冷え込みが強くなる予想の静岡県内。温まるために長時間お風呂でお湯につかることも、注意が必要です。

© 静岡朝日テレビ