北前船歴史伝える絵馬 県有形民俗文化財に2件

粟崎八幡神社に奉納された絵馬(県教委提供)

 県教育委員会会議は21日、県庁で開かれ、有形民俗文化財に粟崎八幡神社(金沢市粟崎町)の船絵馬と、剱地(つるぎじ)八幡神社(輪島市門前町剱地)の船絵馬の2件を指定することを決めた。航海の安全を願って船が描かれた絵馬は、江戸時代後半~明治時代前半に奉納された。北前船など海運との関わりが深い地域の特色や、当時の風俗を示している点が評価された。

 粟崎八幡神社の絵馬は14点ある。船や積荷が精緻に表現され、一帯の風景も描かれている。7点は藩政期の豪商、木谷藤右衛門ゆかりの木谷家が奉納した。

 剱地八幡神社の絵馬は42点で能登では最も点数が多く、地域で奉納が長期間受け継がれていたことを伝える。帆走する船のほか、難破船を描いた絵もある。

 18日の県文化財保護審議会で指定するよう答申があった。1月発行の県公報で告示する。今回を含め、県指定文化財は355件、このうち県指定民俗文化財は25件となる。

 会議では、文化財の保護に加え、活用を求める意見があり、県側は文化財のある市町と連携して取り組むとした。

剱地八幡神社に納められている絵馬(県教委提供)

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