「不正の会社の中古車わざわざ買う?」 軽王国・沖縄、ダイハツ不正に業界は…

 保有自動車のうち軽自動車が5割を超える全国有数の「軽自動車王国」1つに数えられる沖縄。県内2022年度の軽自動車の新車販売台数のうちダイハツが3割を占める中、同社の安全性の認証を巡る不正問題は他メーカーやカーリース業者にも影響が広がっている。過去の不正も指摘され、中古車業界は在庫に抱えるダイハツ車の敬遠を懸念。ユーザーからも不安の声が上がる。(政経部・銘苅一哲、川野百合子、大城大輔)

 ダイハツの車両を別のブランドとしてOEMで販売する沖縄トヨタ自動車は不正を指摘された車種で、入荷待ちの車がレンタカーも含め752台、うち316台は生産済み。残りの436台はこれからの生産だが、今回の出荷停止で見通しがたっていない。

 21日朝から22店舗の担当者が納車待ちの客へ順次電話で連絡した。生産済みの車は安全が確認され、顧客の理解を得た上で納車できることなどを説明している。沖縄トヨタの仲本聡営業統括事業部長は「お客さまが不安にならないように早く連絡を入れ真摯に対応したい」と話した。

 毎月定額の支払いで新車に乗れるマイカーリース商品「スーパー乗るだけセット」などを取り扱う西自動車商会(沖縄市)には、納車を待つ客から「契約を取りやめたい」との連絡や相談が数件あった。メーカー側から説明はなく、情報が不足している状況という。

 広報担当者は「報道以上の情報がなく問い合わせにも答えられず、先行きも見通せない」と話す。今後、ダイハツや関連車種の注文取りやめにつながらないか不安を抱えながら「ダイハツはしっかりと説明して対応してほしい」と訴えた。

 中古車業界も影響を懸念している。不正は1989年から続いており、中古車販売店の関係者は「自分がユーザーの立場で不正があった会社をわざわざ買うかと言われれば、手を出しにくい」と本音を漏らす。ダイハツ製の中古車の在庫を抱える店舗に打撃となる可能性を指摘しながら「客が離れれば業者のオークションでも『ダイハツ離れ』が起きて値崩れするかもしれない」と話した。

 SNSでは新車を契約した客やオーナーが安全性や納期を心配する声が上がる。2台続けてダイハツ車に乗る浦添市の60代女性は「デザインが気に入って乗っているが、孫の学校や保育園の送迎もあるのでもしもの事故を考えると不安になる」と顔をしかめた。

不正問題を受け対応に追われる琉球ダイハツ販売の本社=21日、沖縄県浦添市

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