多摩ニュータウン「若返り」へ 半数以上が高齢者の団地も

東京都は多摩ニュータウンの再生にむけて、「住民の若返り」などを目指す方針を示しました。多摩ニュータウンを取材すると、「自治会活動が回らない」など深刻な高齢化の現状が分かりました。

多摩ニュータウンは、八王子市・町田市・多摩市、稲城市にまたがる日本最大規模の集合住宅街です。

多摩ニュータウンは1971年に入居が始まり、当時の若者などからは、「憧れの街」とされていました。ただ、誕生から半世紀が経過した現在、住民の高齢化が問題視されています。

多摩ニュータウンのなかでも最も高齢化が進んでいるのが、多摩市にある和田団地です。和田団地は65歳以上の住民が占める割合である高齢化率が55.6%と、都内全体の高齢化率の約2倍となっています。

実際にこの団地を訪ね、高齢者の住民に話を聞くと…
「もう50年前はみんな若い人だったんですけど、現在は高齢者施設とかホント80歳以上がほとんどじゃないですかね。(Q:お母さんは何歳くらい?)え、わたしもう70超えてます。(Q:団地のなかだと?)若い方です。びっくりしちゃうでしょ?」

「(Q:認知症の人もいるのか?)大勢いるでしょ。うーん、2割くらいいるんじゃない。ごみの掃除なんかも週に1回とか月に1回とか回ってきても、そういう人は出れないじゃない」

団地にある木を剪定するこちらの男性、団地の自治会長です。自治会は高齢者ばかりで、その運営が困難になっていると話します。

和田団地自治会長:「(自治体は)高齢者で回している。寝たきりじゃない限りは役員で交代で…」

この団地は老朽化のため建て替え工事が予定されていますが、高齢者では引っ越すのも大変だと話します。

和田団地自治会長:「いまの年代の人が80歳過ぎて90近い人が多い。そうするとどうしてもね、向こうにいけないんで、できるだけ早く向こうに行ってもらえればいいんだけど、なかなかそうはいかない」

東京都 都市整備局小平次長:「多摩ニュータウンを取り巻く環境は大きく変化している」

東京都はこうした高齢化などの課題を解消するため、地元自治体の職員や大学教授などを集めた検討会を開き、5年ぶりに新たなガイドラインの策定に向け協議をしてきました。

そして12月21日の検討会で示されたガイドラインの素案では、「学生や子育て世代が暮らしやすい街を作り、住民の年齢構成の若返りを図ること」や、「高齢者支援施設の設置など、高齢者が安心して生活できる環境を整えること」などが示されました。

これら素案の内容は来月中旬まで協議し、その後、都民からの意見を集めたうえで、今年度中に方針を固める予定です。

ここからは多摩地域を取材する白井記者とお伝えします。多摩ニュータウンを取材して高齢化の状況はどうでしたか?

白井記者:「こちらは多摩ニュータウンにある団地のそれぞれの入居開始時期と、高齢化率を示したグラフなんですが、多くの団地でこの緑の点線で示された都内全体の高齢化率を超えていることが分かります。また、多摩ニュータウンの入居開始は1971年なのですが、多くの団地では入居開始当時からずっと暮らしている住民もいて、団地の老朽化とともに高齢化が進んでいることが分かります」

最も高齢化率が高いとされる和田団地を取材してみてどうでしたか?

白井記者:「住民に話を聞くと80歳以上の高齢者ばかりで、高齢者施設に通所している人も多いという声がありました。また、団地5階から1階に降りるのも一苦労という話や、認知症の人も多く住んでいて、そうした人への支援も必要だと感じました」

高齢者支援とともに、街の活性化が必要かもしれません。

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