関学が王子公園に新キャンパス開設へ 神戸市と基本協定締結 29年開学目指す

基本協定を締結した関西学院の村上一平理事長(右端)や森康俊学長(左端)、久元喜造神戸市長(中央)ら=22日午後、神戸市役所

 神戸市灘区の王子公園の再整備を巡る大学誘致で、市と学校法人関西学院(兵庫県西宮市)は22日、基本協定を締結し、新キャンパスの開設を正式合意した。関学は国内外から学生約4千人が集う国際性豊かなキャンパスを整備する方針。2029年の開学を目指す。

 合意した事業実施計画では、王子キャンパス(仮称)に新学部を設け、地域や社会、世界にイノベーション(革新)を起こす人材の育成拠点にする。英語のみで学位の取得が可能なプログラムを拡充し、学生の2割程度を留学生が占める環境を整える。

 眺望が楽しめるレストランをはじめ、敷地や施設を住民に開放。学生以外も利用可能な図書館を検討する。建物は六甲山の景観を阻害しない高さに抑える。

 市は昨年末、公園内の王子スタジアムを北側に移転し、約3.5ヘクタールの跡地に大学を誘致する基本方針を策定。今年6月に公募で関学が優先交渉権者に決まった。来年2月に予定する都市計画の改定が完了すれば、土地の引き渡し手続きを行う。跡地の売却価格は100億円。

 協定締結後に会見した久元喜造市長は「新たな価値を生み出す人材の育成や施設の一般開放など地域に開かれた大学にふさわしい提案をいただいた」と歓迎。

 関学の村上一平理事長は「29年に開学できれば、100年ぶりに(以前にキャンパスを置いた)神戸の地へ戻ってくることになる」と意義を強調。誘致に反対する一部の声には「積極的に理解を得るための努力をしていきたい」と語った。(金 旻革、井沢泰斗)

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