神戸徳洲会病院、持病見落とし患者死亡か 糖尿病に必要な対応せず 神戸市が立ち入り

神戸徳洲会病院に立ち入り検査に入る神戸市職員ら=22日午前9時24分、神戸市垂水区上高丸1

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で9月、入院していた糖尿病の70代男性が適切な治療を受けられず、入院から10日後に死亡していたことが神戸市などへの取材で分かった。市保健所は、病院が患者の糖尿病を見落としていた可能性があるとみて調査している。病院側の対応と死亡との関連を調べ、医療法に基づく行政処分も検討している。

 市などによると、70代の男性患者は糖尿病の治療のため、もともと同病院に通院していた。新型コロナウイルスに感染し入院したが、肺炎が重症化し、8月に別の病院に転院。症状が落ち着いたため、神戸徳洲会病院に再入院したという。

 主治医は外科医の新保雅也院長で、持病を見落としていたとみられ、男性の糖尿病に気付くまで、インスリンの投与など必要な対応をしていなかったという。男性は再入院の10日後、同病院で死亡した。市は血糖値のコントロールができなかったことが死亡につながった可能性があるとみている。

 男性の死後、病院は遺族に「主たる死因は肺炎」という趣旨の説明をし、糖尿病を見落としていたことは伝えなかったという。

 市は11月から調査を開始し、12月22日にも立ち入り検査を実施した。

 同病院は神戸新聞の取材に対し「糖尿病の患者に不適切な処置をし、その後、亡くなったことは間違いない。詳細はこれから調べる」とした。

 同病院を巡っては、循環器内科の男性医師らが行ったカテーテル治療や検査後などに複数の患者が死亡したことが発覚。神戸市は8月、安全管理体制に不備があったとして行政指導した。病院側は12例について調査を続けている。 (金 旻革、竜門和諒、勝浦美香)

© 株式会社神戸新聞社