【レビュー】5年間替刃不要! 6枚刃シェーバー『everedge(エバーエッジ) IZUMI PREMIUM』の使いこなしたくなる無骨なツール感【シェーバー】

電気シェーバーは便利だが、使い続けるうちに切れ味が落ちる。そんなときには替刃を購入して交換すれば良いのだが、高価だし面倒。しかしこの『everedge IZUMI PREMIUM(エバーエッジ・イズミ・プレミアム)』なら5年間替刃が不要だという。そんな質実剛健な機種を実際に試してみた。

外刃が1年、内刃が2年で交換という常識を覆す5年保証。実現できたのは老舗精密刃物メーカーの底力!

電気シェーバーは基本、網状の外刃の中にさらに内刃が仕込まれており、網に入ってきたヒゲを内刃が振動してカットするのが基本だ。当然そこには金属同士の摩擦があり、お互いに身を削り合ってしまう。その結果、傷みやすい外刃が約1年、丈夫な内刃でも約2年で交換が必要になる。ただその交換刃は高価だ。安価な機種が買えてしまうくらいの価格になることも多い。 5年間という長いスパンで考えると、外刃は5回、内刃を2回交換しなければならない。一見お得に見えたとしても、長い目で見ると交換コストは爆上がりだ。

圧が強い

そうなるとこの5年間替刃交換不要の、マクセルイズミ『everedge IZUMI PREMIUM IZF-E863W/863R』(6枚刃・63×49×172mm/約250g・実勢価格 税込43,780円・2023年10月25日発売)の価格は、格段にコストパフォーマンスが良いということになる。 ではなぜ、そんな常識破りができたのか。

充電はUSB Type-C経由。1日3分の使用で1ヶ月使用可能

1956年より電気シェーバーの刃を作り続けてきた泉精器製作所をルーツとし、60年にわたり研鑽してきた技術がマクセルイズミにはある。外刃と内刃が摩擦で削れないためには、硬質な金属を使えばいい。今回同社が選んだのは、野外彫刻にも使われる頑強で高価なオーステナイト系ステンレス鋼。ところが硬ければそれだけ加工が難しくなる。

そこを独自技術で曲げ、外刃と内刃の合わせを徹底的に詰めて誕生したのが、「長寿命刃(サステバ)」=everedgeだ。この硬質な刃を使うことにより5年物長い間、摩耗を防ぐのである。ただ5年間使い続けてレポートするわけにもいかないので、現状の使い心地をレポートしていこう。

インダストリアルな魅力あふれる直線デザイン。本格工具のような質感がクール

近年の電気シェーバーは、エルゴノミクス発想の握りやすさを重視した丸みを帯びたデザインが主流だ。ところがこの1956年から電気シェーバーの刃を製造してきた泉精器製作所をルーツに持つ職人が愛用するようなシンプルな直線デザインを採用している。

外刃と内刃は一体型

まさに無骨なフォルムだが、本体を握ってみるとしっくりくる。今回サンプル提供を受けたのは『IZF-E863W』。充電しながら使用できる「充電・交流式」モデル)。ついうっかり充電を忘れる人に向いているタイプだが風呂剃りには使えない。ブラックニッケルのカラーリングとともに、何か強めの武器を手に入れたかのような高揚感があるのが不思議だ。 「6枚密着ピタヘッド」は、そのうち正方形になりそうなタテ幅で、金と銀の網刃やクセヒゲトリマーがずらりと並んで威圧感を感じてしまうくらい。

垂直に立ち上がるキワゾリ刃

事前に外刃に付属のオイルをたらーり。これをするとしないでは切れ味も変わるし、刃が摩擦で熱を持ちやすくなるからだ。 刃にオイルをしっかりつけていると肌の滑りも良くなるので、そのままシェービングが可能だ。『IZF-E863W』は本体ボタンを1回押しで起動。もう一度押すとターボモードになる。同機は肌に対して直角に当てることを考慮して設計されているので、そうする。ただ誤差があっても、ヘッドが柔軟に動いて調整してくれるので、意識する程度で大丈夫だ。

ジョリジョリというよりもパワフルなゾリゾリという感覚で、ヒゲが剃れる。スルスルと滑らせることで、幅広な刃がいろいろな生え方をしているヒゲをカットしていく。 構造的に6枚刃だと、一発で全部剃れる気がするが、筆者のようにクセヒゲがある人なら何度か往復させる。オイルで滑りが良ければ、肌へのダメージも最小限で済む。それでも痛く感じる人ならシェービングフォームやジェルを使うウエットシェービングがおすすめだ。せっけんやボディソープを泡立てて使うのも良いが、肌への攻撃性はちょっと増える。 筆者が数回試した中で一番気に入ったのは、オイルをしっかり刃に含ませたドライシェービング。スルスルと滑って痛くないし、シェービングフォームのように剃れているかどうか見えなくなることもない。シェービングクリームをつけて、じわじわ動かすのもよく剃れる。 本体のグリップが優秀で、滑りにくい。全体を剃るときは真ん中を持ち、鼻の下やアゴなどの細部を剃る場合はヘッドに近い部分を持ち、繊細にコントロールしていく。キワゾリ刃は付属しているものの、筆者が楽しかったのは背面の切替スイッチで、外刃の一列だけがポップアップする「ナローシェーブモード」。細かく凹凸する部分がこれでかなり攻め込めるのだ。

『everedge(エバーエッジ) IZUMI PREMIUM』の使用感/繊細なコントロールができるプロ工具感

「ヒゲを剃るためだけに生まれてきました」というシンプルなデザインで、本格プロ・ツール感覚がみなぎる『IZF-E863W』。実際に使ってみると、プロが使う高級工具のようなコントロールしやすさに驚いた。複雑な凹凸を持つ顔に、直線デザインを主とする同機は実に使いやすい。これはおそらく、昔からある金槌やドライバーがみな直線デザインだったことに由来すると思う。顔の凹凸に複雑なフォルムでアプローチするよりも、わかりやすかったのだ。 さらに毎秒62.5回ヒゲの濃さを検知してヒゲの濃さに応じてカットスピードを制御する「シェービングAI」も、コーナーで的確にアクセルを踏み込むF1ドライバーのようだ。結果、ヒリヒリしない。かなり強く押しつけない限り、ひりつく部分はほとんどなかった。アゴなどのエッジ部分をしつこく何度も攻め込んだら多少ピリピリしたが、もっと上手く使えるように腕を磨きたいと感じさせる。 充電はUSB Type-Cで可能。2時間でフル充電。うっかり充電忘れ対策に、バイクのガス欠対策のリザーブタンクのように、充電が切れてももう一度3分間だけ使うことのできる「リザーブモード」を搭載している。 入手は家電量販店、オンラインストアなどで可能だ。

なぜなに●シェーバーの基礎知識

●「風呂剃り」したいなら「充電・交流式」ではなく「充電式」モデルを選ぶ

「充電・交流式」モデルは、充電しながら使えるものの、風呂剃りはできないのが一般的(例外あり)。ただ丸洗い可能なように防水されているのでシェービングフォームやジェル、クリームを使ったウエットシェービングは可能だ。シャワーを浴びながら、浴槽に浸かりながらびしょびしょの状態でボディーソープなどを使って「風呂剃り」をしたい場合は、「充電式」モデルを選ぼう。充電しながら使用はできないが、ジャブジャブ状態で「風呂剃り」ができる。※物理的には「充電・交流式」でも防水してあれば、充電しながら使わない限り風呂剃りは可能。しかし交流運転が可能な製品なため、危険性を考えてメーカーは推奨していない。(2023年12月21日内容一部更新)

●オイル1滴で剃り味が変わる!〜滑りが良くなり、刃も熱くならない

電動シェーバーを初使いする場合は、まず付属のオイルを1〜2滴外刃に垂らして電源をオン。油をなじませることで刃がスムーズに動き、切れ味も高まる。各社専用のシェービングオイルを付属しているが、手元に無い場合はベビーオイルによく使われるミネラルオイルでも代用できる。昔から刃物全体に使われていたのは椿油。スプレー式の方が刃全体に馴染ませやすい。

●ドライシェービング vs ウエットシェービングの違い

肌が乾いたまま剃るか、濡らして剃るか。基本的には濡らしたり、シェービングフォームやジェル、クリームで剃るウエットシェービングの方が、肌の負担は少ない。シェーバーは防水されている必要がある。ウエットというと水のイメージがあるが、クリームなどを使うとオイルシェービングに近く、肌へのやさしさも高まる。

●シェーバーは往復してもいい?

5枚刃、6枚刃など、一発で何もかも剃れる気がするが、実際はそうでもないことが多い(箇所にもよる)。複数回往復しても、オイルなどで滑りが良いなら肌への負担は少ない。

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