米坂線応援へ、駅弁の力 川西や長井の飲食店、地元食材使い開発中

弁当の内容や沿線活性化について意見を交わす大竹浩之さん(左)と置賜農業高生=川西町

 昨夏の豪雨で区間運休が続くJR米坂線の復旧と沿線地域活性化の力になろうと、川西町と長井市、新潟県村上市の飲食店が地元食材を使った駅弁開発を進めている。米沢牛や長井名物の馬肉などを活用し、企画した藤崎(仙台市)が来年2月に同市で開く「全国駅弁大会とうまいもの市」で販売しPRする。仙台圏で米坂線の知名度を高め、同線や沿線への誘客を図り鉄路運行復活を後押しする。

 米坂線は約75%に当たる67.7キロ、今泉(長井市)―坂町(村上市)間で運休しバス代行輸送が続く。橋梁(きょうりょう)崩落や土砂流入など被災は112カ所に及ぶ。復旧費用は約86億円で本県分は約55億円とされ、復旧の見通しはまだ立っていない。

 現状を踏まえ、駅弁大会で地方鉄道の魅力を掘り起こそうと藤崎が企画。本県から「キッチン&バーカリスマ」(川西町、大竹浩之店主)、「やき肉黒獅子」(長井市、梅津達也社長)、新潟県側は村上市の弁当店が出品する。

 各店は地域への関心を高める食材を生かす。カリスマは米沢牛を使ったハンバーグ弁当、やき肉黒獅子は長井市民に親しまれる馬肉と米沢牛をすき焼き風にした合い盛りにする予定。表紙に米坂線の写真や路線図をあしらう。村上市の店舗はサケのほぐし身を使う。

 藤崎コンテンツデザイン部の松岡達哉バイヤーは米坂線の食や景観を生かす観光面の可能性を指摘する。「利用者増には沿線の魅力を発信する必要がある。置賜や村上を巡る楽しさを大勢に伝えたい」と語る。

 復旧を目指して置賜農業高生が署名活動しており、メンバーが14日にカリスマに集まり説明を受けた。販売の応援を考えており、2年平光紗緒理さん(17)は「地域外の人に路線をアピールできる」と期待する。

 駅弁大会は来年2月16~28日に藤崎本館で開き、やき肉黒獅子は16~22日、カリスマは23~28日に出店。店主の大竹さん(41)は「運休は大変な状態だが、活性化に向け地域資源を見直す機会になった」とし、駅弁作りを「多くの人と連携し元気を取り戻すきっかけにしたい」と話している。

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