フェラーリで活躍すること10年、ル・マン王者ジェームス・カラドが契約延長にサイン

 フェラーリのワークスドライバーとして長年活躍しているジェームス・カラドは、イタリアのスポーツカーブランドと新たに複数年契約を結び、来季“跳ね馬”で11年目のシーズンを迎えることとなった。

 34歳のカラドは今年、100周年の記念大会として開催されたル・マン24時間レースでフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499Pを駆り、このクルマのデビューイヤー唯一の優勝を達成した。彼はシングルシーターレースからスポーツカーへと転向しフェラーリに加わったのは2014年のこと。

 以来、このイギリス人ドライバーはWEC世界耐久選手権のLM-GTEプロクラスで3度のドライバーズチャンピオンを獲得し、ル・マンでも2度のクラス優勝を達成。フェラーリ陣営の中でもっとも成功したドライバーのひとりとなった。

 そんなカラドは今季2023年、イタリアのメーカーが開始したWECハイパーカー・プログラムに抜擢され、同じくフェラーリ・ワークスドライバーのアレッサンドロ・ピエール・グイディ、アントニオ・ジョビナッツィとともに51号車をシェアすることに。そして前述のとおりル・マンでは総合優勝を果たした。

「フェラーリとの契約を更新できたことを誇りに思う」とカラドは語った。

「プランシングホース(跳ね馬)ではこれまでに信じられないような経験をしてきたが、この道を歩み続けることは並大抵のことではない。僕の将来の目標は、ハイパーカーでワールドチャンピオンになることだ」

「マラネロでの10年間で、僕は何度かスリリングな時間を経験をした。例えば、オフィシャルドライバー契約を結んだ2014年のことを考えている。家族と食事をしているときに、待っていた電話がかかってきた。それは僕にとって特別な夜だった」

「それから2年後のニュルブルクリンクでの初勝利。当時は肩に大きなプレッシャーを感じていたし、初優勝を達成することで自分の価値を証明したいと思っていた。最初にフィニッシュラインを越えたときは、まるで解放されたような気分だった」

「明らかに、今年のル・マンでの優勝も忘れられない思い出だ。アレ(アレッサンドロ・ピエール・グイディ)とジョビ(アントニオ・ジョビナッツィ)と一緒に表彰台に上ったときの喜びは決して忘れられないものだ」

「もちろん、LM-GTEプロクラスでの3つのタイトルにも特別な思い出がある。本当に濃密な10年間の忘れられないページだ」

 カラドは、先月ニクラス・ニールセンが複数年契約を結んだのに続き、この短期間で契約を延長したふたりめのハイパーカー・ドライバーとなった。現在のところ正式発表はないが、フェラーリは来季2024年のWECハイパーカー・プログラムでも、今シーズンと同じドライバーラインアップを敷く予定だ。

 このことを以前示したフェラーリのグローバル耐久部門の責任者であるアントネッロ・コレッタは、これまでに多くの成功を収めてきたカラドに期待を寄せるひとりだ。

 同氏は、「フェラーリ・ファミリーの中で名を馳せてきたジェームス(・カラド)のような、スピードがあり信頼できるドライバーに期待できることをうれしく思う」と語った。

「過去10シーズンでカラドは、ゼッケン51を掲げたフェラーリ499Pのチームメイトとともに祝ったル・マンでの総合優勝や、ピエール・グイディとともに獲得した3つのLM-GTEプロタイトルなど、際立った勝利の実績を築いてきた」

「私たちはこの基盤の上に関係を構築し、楽観的に未来を見据えていく」

ル・マン24時間レース“100周年記念大会”で総合優勝ドライバーとなったジェームス・カラド(右からふたりめ)
ル・マンでの優勝後、イタリア・マラネロで凱旋バレードを行ったフェラーリ499P

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