沖縄・伊良部島の断水を巡る訴訟 ホテル側が全国初の勝訴 宮古島市に賠償命令 福岡高裁「修繕の義務を怠った」  

 沖縄・伊良部島の断水で損害を受けたとして、島内のホテル運営会社2社が水道施設を管理する宮古島市に計約380万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審の判決が21日、福岡高裁であった。久留島群一裁判長は、請求を棄却した一審那覇地裁判決を変更して市の賠償責任を認め、計約200万円の支払いを命じた。原告側代理人によると同種訴訟で賠償責任を認める判決は全国初とみられる。

 久留島裁判長は、断水が約40年使われた装置の経年劣化によるものと推認。装置破損は予見でき、点検や取り換えで回避できる可能性もあったとして、市が施設を維持・修繕する義務を怠ったと判断した。

 市側は水道法の「やむを得ない場合」に該当し、給水義務はなかったなどと主張したが、いずれも退けられた。

 2020年の一審判決は市に重過失はなく損害賠償は免除されると判断。二審福岡高裁那覇支部も支持したが、最高裁は22年7月、二審判決を破棄し、審理を福岡高裁に差し戻した。

 原告側代理人の尾畠弘典弁護士は「自治体が免責条項を理由に賠償を逃れることは他にもあり、設備更新を怠った責任を認めた意味は大きい」と評価。市水道部は「判決内容を精査し、顧問弁護士と協議して今後の対応を決めたい」とコメントした。

 断水は18年4月27日午後から5月1日未明の間に発生。ホテル側は大型連休の繁忙期に宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、レストランも営業できないなどの損害を訴えていた。

(資料写真)水道

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