【有馬記念/追い切り診断】ジャスティンパレスに迫る高評価の3歳馬 「古馬初対戦でも争覇圏入り可能」

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■タスティエーラ

【中間調整】クラシック1冠目の皐月賞は水分を含んだ馬場にノメるような場面がありながら、正攻法から2着を確保。続く日本ダービーは好位で絶妙な立ち回りを見せ、最後の直線で早めに抜け出すとソールオリエンスの猛追を凌いで先頭でゴールイン。第90代目となる日本ダービー馬の座に輝いた。秋の初戦はぶっつけで菊花賞。勝負どころでの反応が少しだけ遅れ、前々で運んだドゥレッツァには届かなったものの安泰の2着に入線している。これで3冠にフル参戦し2着、1着、2着。ソールオリエンスには2勝1敗で、世代最強馬と呼んで差し支えないだろう。

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その後、自厩舎で1週間ほどケア。招待状が届いていた香港ヴァーズは見送ることとし、有馬記念への出走を念頭に放牧に出された。11月24日にノーザンファームしがらきから美浦に戻っており、30日にウッド3F37秒5-1F12秒3(馬なり)と、初時計としては上々の数字をマーク。1週前追いはウッドで3頭併せを行い、終始集中した雰囲気からラストは外の2頭が来れば来るだけ伸びていた。その後日曜追いでも坂路3頭併せを行い気持ちの面の強化に注力。

【最終追い切り】レース当週はウッドで良血の新馬チザルピーノに胸を貸す併せ馬。相手もよく走り、ある程度速い流れとなったが、余力十分に併走に持ち込む。仕掛けられた相手の加速にはスッと反応し、タスティエーラ自身気持ちを乗せてギアを上げることができていた。結局1馬身の先着。

【見解】前走は調整遅れがありセントライト記念を見送っての直行。心肺機能はともかくレースを経験していないのがネックで、併せ馬でやけに力むなど精神面でのブレが残るような状況だった。それで2着は能力とセンスの高さの証明。そこから飛躍的に上昇……とまでは言い切れないが、攻めは順調で、とくに併せ馬で落ち着いているのは何より。使ったぶんの上積みは確実にあり、古馬一線級との初対戦でも争覇圏入りは可能だ。

総合評価「A」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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