芦屋市立小いじめ重大事態 小4女児訴えの被害10項目中、5項目をいじめ認定 第三者委が調査答申

芦屋市役所=芦屋市精道町

 兵庫県芦屋市立小学校に通っていた当時4年生の女児が他の児童からいじめを受けていた事案について、市教育委員会から諮問を受けていた第三者委員会は22日までに、女児側が訴えていた10件のうち、悪口が書かれた携帯電話のメッセージを見せられるなどした5件をいじめと認定する調査報告書を提出した。

 報告書などによると、2021年12月ごろ、女児がいじめを受けたと学校に伝え、事案が発覚。女児は22年2月までに少なくとも30日以上欠席し、同年7月に学校が重大事態と認定した。女児は23年3月に転校した。

 女児側はいじめ事案が10件あったと訴えていたが、第三者委は、加害児童が虚偽の情報を友人に伝えて女児の悪口を言うよう助長し、悪口が書かれた携帯電話のメッセージを女児に見せた▽加害児童は女児への接触を避けるよう要望されていたにも関わらず、休み時間中に接近した▽下校時に女児のグループと自分のグループが同じになった際、女児を確認したのにその場にとどまった▽休日の地域行事で友人らと被害児童に近づき、その場にとどまった▽登校時、被害児童と目が合ったがそのまま前を横切った-という5項目をいじめ事案と認定した。

 また、女児の欠席日数が国の「いじめ防止基本方針」で定められた基準を超え、心身の不調が見られていたのに、学校が5カ月間、重大事態に認定していなかったと指摘。「市教委は指導助言を行うことが可能だったにも関わらず、『まずは学校で』という姿勢に終始し、適切ないじめ対応に取り組んでいなかった」と批判した。

 第三者委の中村豊会長(東京理科大教授)は「いじめの認定は非常に悩ましかった。一般的な『いじめ行為』と見られるかは分からないが、いじめ防止対策推進法に沿って、被害児童のダメージが明らかに大きかったものをいじめと認定した」と説明。一方、市教委は「情報共有はしていたが、もっと早く学校にスクールソーシャルワーカーなどを派遣すべきだった。一度いじめ行為が止まっていたので、学校側に任せてしまった」と対応の遅れや学校への支援不足を認めた。(村上貴浩)

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