神戸市バス、乗客の要求で法令違反 経路誤り一方通行進入→バックで逆走し戻る 運転士「負い目から断れず」

神戸市役所=神戸市中央区

 神戸市北区で1月、運行経路を間違えた市バスが、乗客の求めに応じて一方通行の道路をバックで逆走したことが22日、市への取材で分かった。運転士は要求を断ろうとしたが、「執拗(しつよう)に食い下がられ、道を間違えた負い目から断り切れなかった」と説明しているという。

 市交通局によると、1月18日正午ごろ、病院前(しあわせの村)発貿易センター前行きのバスが、山麓バイパスのひよどりインターチェンジに向かう交差点で、誤って経路とは違う市道に進入した。約30メートル進んだ所で気付き、バックで一方通行の市道を山麓バイパスに戻ったという。10人の乗客がいた。

 交通局の内規では、運行経路を間違っても、後退せずに走行を続けて本来のルートに戻ることがルール化されている。男性運転士は間違いに気付き、バスを停車させて営業所に事態を報告。車外で電話をしていたところ、乗客の男性から「バックをしろ。後方は責任を持って見るから」と求められたという。

 男性は運転士の携帯電話を取り上げ、営業所の運行管理者にクレームを入れ対応を求めた。営業所側は応じられないと伝えたが、男性は一方的に電話を切ったという。その後、運転士は要求を続ける男性に従ってバスをバックさせた。

 市の担当者は「(男性の行為は)業務妨害に当たると考えるが、運転士が違反行為を行ったのは事実で警察に被害届は出していない」と説明した。

 国土交通省神戸運輸監理部は22日、この事案をきっかけに指導、監督が不適切だったとして、市に対し道路運送法に基づく警告を行った。

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