出火、中高生が80歳救助 金沢の山間部、倉庫全焼

吉村さん(左から2番目)を支えて現場を離れる(右から)梨子村さん、中村仁胡さんと弟の孔思さん=22日午後3時15分、金沢市鳴瀬元町

  ●3人連携、体支え雪中避難

 22日午後3時10分ごろ、金沢市鳴瀬元町の無職吉村忠男さん(80)の木造2階建て倉庫から出火、全焼し、約1時間40分後に消し止めた。出火当時、倉庫の中にいた吉村さんは、外に逃げ出した際に転倒。燃えさかる倉庫のそばで身動きが取れなくなっていたが、現場近くを通りがかった中高生3人が助け出し、無事だった。

 吉村さんを助けたのは、桜丘高2年の中村仁胡(にこ)さん(17)=正部町=と弟の森本中2年孔思(こう)さん(14)、金市工高2年の梨子村(なしむら)昌太郎さん(17)=梨木町=の3人。

  ●ともに三谷小出身

 中村きょうだいは母和美さん(50)の運転で帰宅中、倉庫から煙が上がっているのを目撃、梨子村さんは倉庫近くの自宅にいて火事に気付き、それぞれ現場に駆けつけた。3人は同じ三谷小出身の顔見知りで、ほぼ同時に現場に到着した後、火を上げる倉庫のそばで吉村さんを見つけた。

 3人によると、吉村さんは地面に膝を突きながら、火を消そうと水道のホースを握っていた。3人はその様子を見て「だめやって。早くここから離れんなん」と説得。3人で吉村さんの両脇を抱え、雪の積もる坂道を下って慎重に避難し、到着した救急隊員に引き渡した。和美さんが119番通報した。

  ●煙に恐怖も「助けんなん」

 3人は初めて目の前で火事を見たといい、「黒煙が勢いよく上がっていて怖かったけど、『助けんなん』という気持ちが勝った」と振り返った。

 現場は北陸自動車道金沢森本インターチェンジ(IC)から東に約1.8キロ離れた山間部。吉村さんによると、出火当時、倉庫の中でごみを燃やしていたという。署と市消防局は23日実況見分を行い、詳しい出火原因を調べる。

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