奥能登孤立「電気使えん」 ガスで暖、不安な夜

倒木による通行止めで集落が孤立し、停電の影響でランタンの明かりを頼りに過ごす住民=22日午後3時50分、能登町北河内

 今季最強の寒波が22日、能登を中心に石川県内を襲った。「電気が使えんと風呂にも入れん」。奥能登ではアクセス道が寸断され、孤立した上に停電する集落が相次いだ。町長選のまっただ中の志賀町には「顕著な大雪に関する気象情報」が出され、住民から「雪が多すぎて期日前投票に行けん」との声が漏れた。夜になっても雪はやまず、輪島市内の孤立世帯は188に増え、多くの住民が不安な夜を過ごした。

 能登町北河内では約8時間、孤立状態が続き、約20人が山あいの集落に閉じ込められた。浄土真宗東本願寺派光明寺住職の竹橋尚(ひさし)さん(69)方では乾電池式のランタンがともされ、家族3人がプロパンガスのストーブで暖を取った。

 断水が相次いだ2018年の大雪でも停電したことがあり、竹橋さんは「またかと思ったが、これだけの雪なので仕方がない」とつぶやいた。妻祐美子さん(68)は「迂回(うかい)路が通れるようになるまで怖かった。停電で給湯器が使えず、風呂に入れないので早く復旧してほしい」と表情を曇らせた。

 北河内の池田光正区長(73)は「孤立が続けば、灯油を買いに行けなかったので解消されてよかったが、停電が復旧しないと、体調を崩す人が出るかもしれず、気が休まらない」と語った。

  ●188世帯孤立 輪島の避難所、母子3人身を寄せ

 188世帯が孤立した輪島市では22日夜、市ふれあい健康センターの自主避難所には母子3人が身を寄せた。自宅が停電したためで、早々に床についた。17世帯が孤立した深見町一乗では、市道の除雪と電線に架かった倒木の除去が進められた。

 輪島市門前町の曹洞宗大本山總持寺祖院は拝観をとりやめた。髙島弘成副監院(かんにん)は「こんなに雪が積もったのは記憶にない。除雪が追いつかない」と嘆いた。

  ●すぐ食料買い込んだ、のと里山海道で立ち往生

 のと里山海道では通行止めが発生。輪島市に来る途中で短時間の立ち往生に見舞われた金沢市内の男性業者は「帰りのことを考えて、下道に入ってすぐにコンビニで食料を買い込んだ。金沢に無事に着けるだろうか」と不安そうに話した。

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