冬の主役たち(4) バレーボール男子 大分南 認め、競い、支え合う2人の3年生エース 【大分県】

年末年始に開催される冬の高校スポーツ全国大会。県代表として出場する高校から、注目が集まる個人選手をピックアップした。

春の高校バレーに出場する大分南の2人の3年生エース、嵯峨慎人と前畠怜和。同じ時期にバレーボールを始め、小・中学校はライバルとして競い合い、高校は「一緒に春の高校バレーを目指そう」と大分南に入学した。県内では名の知れた2人は、1年生の頃から試合に出て、全国高校総体には2度出場したが、春の高校バレーには縁がなかった。今年11月の県予選を前に、2人は「俺たちがチームを引っ張る」と決意した。

キャプテンであり、レシーブ力に優れた嵯峨はオールラウンダー。身長176cmは決して高くはないが、相手のブロックを見て強打と軟打を打ち分け、高いスパイク決定率を誇る。最終学年になってからは「勝つために何ができるか」を考え、ミーティングを開き、チーム全員に、学校生活も含めて練習に取り組む姿勢を改めることを求めた。「課題は必ず提出する」、「体育館に入る前は一礼する」、「ボールは蹴らない」、「気づいたことは必ず発言する」など、全員が合意して約束、規則を作った。自らが見本となり、ルールを守るように同級生、下級生に促した。前畠は「チームをまとめるために規律を求めたんだと思う。本当に勝ちたい思いが伝わった」と感じていた。

オールラウンダーの嵯峨慎人

最高到達点333cmの打点から強烈なスパイクを打ち下ろす前畠は、チームのポイントゲッターだ。強気のプレーでチームをぐいぐい引っ張る。「バレーを始めた小学5年の頃からマコト(嵯峨)とは練習試合などで顔を合わせ、互いを意識してきた。あいつの考えていることはよく分かる」。嵯峨がキャプテンとしてチームをまとめる際、「言いにくいことは俺が言えばいい」とフォローし、時には強い言葉で叱咤(しった)した。嵯峨は「(前畠は)オンとオフの切り替えが早いから、何を言ってもみんなが素直に聞く。チームをまとめる上で助かった」と頼りにしていた。

互いに認め合い、支え合う2人は、バレーボールを始めた頃から目標としていた春の高校バレーに出場する。最初で最後となる夢の舞台へ気持ちは高ぶる。「相手の嫌なプレーをして粘り強く戦う。高校3年間の集大成の場としたい」(嵯峨)、「緊張はあるが、強い気持ちを持って試合をしたい。自分は点を取るのが仕事。どんな難しいパスが来ても決めたい」(前畠)。2人は強い思いを持って、チームを勝利に導く。

ポイントゲッターの前畠怜和

(柚野真也)

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