2024年“辰年”は株価が天井をつける傾向あり!?理論で説明できない市場動向「アノマリー」とは?

皆様は株式などに投資するとき、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析、どちらを用いていますか?ニュースや決算などのデータから株価などの値動きを予測するファンダメンタルズ分析、チャートの値動きを手掛かりとするテクニカル分析、どちらも大切ですし、私はファンダメンタルズで選んでテクニカルでタイミングをはかるというやり方を主にしています。

ところでファンダメンタルズとテクニカル以外に、「アノマリー」を手掛かりとすることも投資のヒントになることをご存知でしょうか?今回はアノマリーの重要性を解説します。


アノマリーとは?

アノマリーというのは理論的な根拠は薄いものの経験則に基づく市場動向の特定のパターンを捉えるものです。

アノマリーの利点としては、理論では説明しにくい動きを捉えることで、市場平均を超える成果が期待できる、パフォーマンス向上の期待ができるということ、アノマリーは市場の背後にある心理的要因を理解するのに役立つということなどが挙げられます。

アノマリーは常に当てはまるわけではないため、他の分析手法と組み合わせることが重要であること、アノマリーに頼りすぎないことはあらかじめ念頭においてくださいね。

年末のアノマリー

まずは年末のアノマリーについて年末年始には株価が上昇する傾向があります。これは、年末に市場参加者が減少して売り圧力が弱まることや、新年に新たな投資資金が市場に流入することが要因とされています。

年末相場では米国ではハロウィーン効果とも呼ばれる10月末から翌年春までの相場上昇が見られるというアノマリーがあります。過去20年間で勝率は75%なので、そこそこ信ぴょう性があるアノマリーです。また日本でも“掉尾の一振(とうびのいっしん)”というアノマリーがありますが、10月末から年末にかけての上昇傾向があるという意味で、日本でも10月末から年末にかけて過去20年間の勝率は70%となっています。

12月の日経平均株価は、12月21日現在で高値圏で推移しています。今年前半力強く推移したことで後半は高値を超えられていませんが、12月の日銀金融政策決定会合では現行の大規模金融緩和策が維持となっており買い安心感もあるようです。このままいけば今年も11月初めから比べると年末高と言える値動きとなる可能性は高そうです。

年始のアノマリー

では1月4日大発会から始まる新しい年の相場はどうなるのか。アノマリーを見ると、節分天井・彼岸底という、2月上旬の節分に株価が高く、3月中旬の彼岸に売られるというものがあります。

このアノマリー通りに行けば2月まで上がりそうですが、1月は相場の流れが変わることも多いです。2020年、2022年は年末高から月足で下落しています。そうなるとアノマリーに頼りすぎずテクニカルなども含めてしっかりウォッチする必要がありそうです。

年間のアノマリー

では年間ではどうなのかというと、「Sell in May and go away, don’t come back until St.Leger day.」という有名なアノマリーはデータ上でも有用なよう。前半のセル・イン・メイが有名ですが、アノマリー全部を直訳すると5月に売ってセント・レジャー・デーまで戻ってくるなとなります。セントレジャー・デーとは、毎年9月の第2土曜日にイギリスで行われる競馬の大レースのことです。

月間の騰落率では、1976年以降のデータでは11月と12月が高く、7から10月が下落傾向にあり、高値から10%以上下落するいわゆる弱気相場入りしたあとで転換しやすいのは過去のデータでも10月に底を打って転機となりやすい月だといえます。

背景には米国の税金の還付が2月から5月くらいまであるため、その資金が市場に入りやすいことや、年末高の際に立てた信用取引の買い残のポジション解消の期限が6カ月後の6月に来るため売られやすいこと、夏季休暇前の手仕舞い売りも出やすいことなどが挙げられます。

そうなると株式市場において5月に売って9月の第2土曜日に買いを検討し始めるというのは投資において優位性のある行動なのかもしれません。

米国では選挙にまつわるアノマリーがある

2024年の重要イベントであるアメリカ大統領選にまつわるアノマリーもご紹介しましょう。米国では、中間選挙の年は株価が下がり、翌年は上昇する、というアノマリーがあります。また大統領選挙の前は現政権が選挙で勝つために株高政策を打ちやすいことから株高になりやすいといわれています(確かに2023年のダウ平均は過去最高値を更新)。

日本では干支にまつわるアノマリーも

そして毎年、年末年始に出てくるアノマリーには「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)は辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる」というものがありますね。

辰年や巳年では株価が天井をつける傾向があり、午年は下がりやすい。戌年や子年、寅年などが高くなりやすい」という意味ですが、今年の卯跳ねではそれなりに跳ねたわけで、辰巳天井に向けて高値を付けていけるのか注目です。

日本のバブルの1987年は卯年で1988年が辰年となって高値を追い、1989年が巳年で3万8915円87銭という過去最高値をつけたあと急落したという歴史があります。4月の春闘でインフレによる賃金上昇も期待できる中で、いよいよ日本も過去最高値を追うことができるのか、アノマリーも押さえながらファンダメンタルズやテクニカルもしっかりウォッチしていくと値動きが利益に変わっていくのではないでしょうか。

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