物価高がクリスマスを直撃。 今年のクリスマスは「家族と過ごす」が主流に

 新型コロナウイルスのパンデミックが収束して、初めて向かえるクリスマス。今年は外出自粛や制限から解放されて大いに盛り上がるのかと思いきや、実はそうでもなさそうだ。

 くふうカンパニーグループ<4376>傘下の株式会社ロコガイド<4497>が、同社サービスの利用者2031名を対象に実施した「2023年 クリスマスの過ごし方」に関するアンケート調査によると、半数以上がクリスマスは「家族と過ごす」と回答しており、その内の97.9%が「自宅」で過ごすと答えていることが分かった。その主な理由と考えられるのは物価高で、54.3%の人が、物価高がクリスマスに「影響がある」と答えており、食事やケーキ、デザートの予算を減らすと回答している人も50%を超えている。クリスマス商戦に甚大な影響を及ぼしそうだ。

 一方、家庭で過ごす人が多くなりそうなことから、お惣菜やテイクアウトなどを活用する人の伸びが見込まれている。コロナ禍を経て、デリバリーやネット注文のテイクアウト文化が普及したこともあり、これらのサービスを導入する店舗や企業も急増し、消費者の選択肢も広がった。中でも、やはりチキン関係の料理は圧倒的に人気が高いようだ。

 ちなみに、自宅で食べるクリスマスのチキンといえば、ケンタッキー<9873>を真っ先に思い浮かべる人は多いと思うが、同社の発表によると2022年のクリスマスの店舗売上は、3日間(12月23日~25日)だけで合計64億円にも上る。

 また、どうせ自宅で過ごすのなら、少し凝ったチキン料理にチャレンジしてみても良いかもしれない。最近はインターネットで手軽にレシピや料理の裏技を調べられるので、手間さえ惜しまなければテイクアウトよりもリーズナブルに、少し贅沢なクリスマス料理が楽しめるだろう。家族で一緒にチキンを食べたら、さらにクリスマスムードが高まることだろう。

 一昔前までは、スーパーなどで手軽に購入できる鶏肉は苦手だという人も多かった。いくら国産でもブロイラーなどの鶏肉は独特の臭みがあるためだ。また風味も乏しく、肉質もパサパサとしているものが多い。近年では生産業者の努力などで随分改善はされてきたように思えるものの、高級なブランド鶏肉と比べるとやはり物足りない。

 しかし、そんな国産鶏肉をグレードアップさせる研究も進んでいる。

 神戸大学と白鶴酒造株式会社は2021年4月から、輸入に依存している国産鶏の飼料の国産化を目指し、鶏用飼料としての酒粕利用法について共同研究に取り組んでいるが、先日、この研究の一環で新たに鶏肉の食味が向上する効果が確認されたというのだ。

 同研究によると、鶏に与える飼料を従来の輸入飼料から、玄米と酒粕を配合した国産飼料 (玄米酒粕飼料)に置き換えることで、風味全体の強さ、鶏肉らしい風味、風味の総合評価が向上することを官能評価で確認したという。酒粕に由来するパルミチン酸とその代謝産物であるパルミトレイン酸の割合が上昇する現象がみられることから、脂肪酸が低分子化・不飽和化していることとなり、鶏肉の食味向上に寄与している可能性があると推察している。さらに、輸入に依存している餌を国産化することで、輸送にかかるCO2排出量の削減にも効果があるという。近い将来、もっと美味しくて安全な国産鶏肉が気軽に食べられるようになることが期待できそうだ。

 日本ではクリスマスは恋人同士や友人たちと過ごす、年末の賑やかな一大イベントのイメージが強いが、本場である海外のクリスマスは、ほとんどの店舗が閉まって街は普段よりも静かになるところが多い。教会で祈りを捧げ、家族と共に穏やかな時間を過ごすのが、クリスマスのあり方だ。今年、本場のスタイルを取り入れて、家族と大切な時間を過ごすクリスマスにしてみてはいかがだろうか。(編集担当:藤原伊織)

新型コロナウイルスのパンデミックが収束して、初めて向かえるクリスマス

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