【先週読まれた人気記事】アニメ『葬送のフリーレン』ヒンメルの指輪の渡し方が“完全にプロポーズ”と話題

12月8日に放送されたアニメ『葬送のフリーレン』第14話「若者の特権」では、シュタルクがフェルンへ贈った誕生日プレゼントをきっかけに、フリーレンの中に眠っていた温かな思い出がまた一つ掘り起こされる。それはかつて勇者ヒンメルがフリーレンに贈った、ある指輪の物語……。教会の鐘が鳴り響くあかね色の空の下、ヒンメルはフリーレンの前にひざまずき、彼女の手を優しく取る。その姿はまるでプロポーズのようだと視聴者の間で話題に。指輪の意匠「鏡蓮華(かがみれんげ)」の意味も相まって、感動と賞賛の声が多く上がった。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆衝突、それは若者の特権

勇者ヒンメルの死去から29年後。僧侶ザインを旅の仲間に加えたフリーレン一行は、北側諸国ラート地方の街に立ち寄っていた。多くの店が立ち並ぶ、にぎやかな街の様子に浮き足立つシュタルクとフェルン。だが一方で、フリーレンはひとり足を止めていた。その視線の先には、特に変わった様子のない時計台。……私は以前、この街に来たことがある。あの時は確か、生臭坊主のハイターが酒場をチェックしていて、ヒンメルが「あとで一緒に買い物に行こう」と誘ってくれた……。どこかの教会だろうか。聞こえてくる鐘の音が、彼女の思い出の深いところを揺り動かしていた。

そんな余韻に浸る間もなく、チェックインした宿である問題が起こる。シュタルクとフェルンがケンカをしてしまい、シュタルクがひとり宿を飛び出してしまったのだ。実は、この日はフェルンの誕生日。それにもかかわらずプレゼントを用意していなかったシュタルクに彼女が腹を立てたことが原因だった。ムスーっとした表情のフェルンを、“大人ふたり”がたしなめる。「追いかけた方がいいと思うぜ」「行った方がいいんじゃない?」。まだ納得がいかないながらも、フェルンはシュタルクを追いかけるのだった。

プレゼントを用意していなかったシュタルクに頬を膨らますフェルン 

そのころ、街の広場でひとり寂しげにたたずむシュタルク。その左手首には、自身の誕生日にフェルンからプレゼントされた銀のブレスレットが揺れていた。深いため息が出る。彼もまた自分の行いを後悔しながらも、どうすればいいのかわからずにいた。そして、そんなシュタルクを遠くから見つけたフェルンも、彼に近づくための勇気の一歩を踏み出せない。……結局フェルンが声をかけたのは、どこかのお店で誕生日プレゼントを物色するザインの背中だった。うつむくフェルンの様子を見て事情を察したザインは、「分かってるよ。嫌いなわけじゃないんだろ?同年代の男子との接し方が分からないだけだ」と、彼女を優しく迎え入れる。

ひとまず自分のプレゼントを贈ろうと、ザインは「好きなの選んでいいぞ。別の店、回ってもいいし」と商店に並んだ品物を指す。しかしその時、何かを思い出したようにハッとしたフェルンは、「いいえ。結構です」と、ザインの申し入れをそっとほほ笑んで断った。そんな彼女の表情にピンときたザインもまた、「じゃあ勝手に選ぶな」と、少しいたずらな笑顔で返す。そして、フェルンがシュタルクの誕生日にはプレゼントをあげたことを知ると、「へぇ、そのときは一緒に選んだのか」と、知るはずのない出来事を言い当てるのだった。

驚くフェルンに、ザインは彼女の心の内を見通すように語る。「『好きなの選んでいい』って言われて断る奴なんか普通いないぜ。きっとそれが大切な思い出だと思っているからだ。だから断った」。心の奥底の気持ちを揺り動かされたフェルン。それでもなお、戸惑いながら「わかりません。ただなんとなくそうしたくなったんです」とつぶやく彼女に、ザインは自分が選んだプレゼントをそっと手渡し、そして続けた。「ならさっさとシュタルクに謝って、一緒にプレゼント選んでこい。思いってのは言葉にしないと伝わらないんだぜ」。その言葉は、くしくもシュタルクの誕生日にフリーレンが言った言葉だった。

背中を押されたフェルンは急ぎシュタルクのもとへ。気づけば空は、すっかりあかね色に染まっていた……。ついに顔を合わせた2人は、お互いの気持ちを告白し合う。「本当は一緒に選びに行きたかったんだ」と明かすシュタルク。「私の方こそ言い過ぎました」と、優しくほほ笑むフェルン。離れていた気持ちが再び通い合ったふたりは、仲良く並んでプレゼントを買いに出かける。その様子をザイン、そしてフリーレン、ふたりの大人が屋根から優しく見守っているのだった。

新たな仲間ザインは早くも“お兄さんキャラ”として定着

◆「鏡蓮華」の指輪

街を出たフリーレンたちは、北側諸国バンデ森林で馬車に揺られていた。近くの村で代々装飾店を営んでいる商人が、一行を拾ってくれたのだ。のんびりとした時が流れる中、フリーレンはふとフェルンの左手首に新しいブレスレットを見つける。先日、シュタルクからもらった誕生日プレゼントだ。花びらのような銀細工が施されたそのブレスレットをフリーレンは「かわいい意匠だね」と褒めると、「同じデザインの指輪、持ってるよ」とカバンの中をあさり始めた。なんでも昔、ヒンメルにもらったものだという。

ところが、“ガラクタ”ばかりのカバンの中から小さく光る指輪を見つけたその時、雷が落ちたようなごう音が響く。気づくと、一行が乗っていた馬車は重力を失ったように空高く浮かび上がっていた。なんと魔力を隠した鳥型の魔物によって、馬車ごと捕らえられてしまったのだ。解決策を考えていたのも束の間、鳥型の魔物は地面に馬車をたたきつける姿勢をとり、急速に降下を始める。フリーレンは仕方なしと涼しげな顔で馬車から飛び出すと、攻撃魔法によって魔物を撃退。さらに飛行魔法で落下の衝撃を和らげ、一行は一命を取り留める。だが、かばいきれなかった馬車は半壊。修理のために、フリーレンたちはしばらく野営することを決めるのだった。

鳥型の魔物を撃退するフリーレン その見事な魔法にザインは開いた口が塞がらなかった

順調に馬車の復旧を進めるなか、改めてフェルンのブレスレットを見たザインはあることに気がつく。ニヤリと笑みを浮かべ、シュタルクの背をポンっとたたいた。「やるじゃねえかシュタルク。お前はもっとヘタレかと思っていたぜ」。要領を得ないといった表情のシュタルクに、ザインはこう続けた。「あの意匠は鏡蓮華。花言葉は『久遠の愛情』だ。この地方じゃ、あれは恋人に贈るものだぜ」

そんな花言葉などつゆほども知らなかったシュタルクは、焦ってしどろもどろに。そばで話を聞いていたフェルンに「誤解だよ。俺が花言葉なんて知ってると思うか?」と弁明するも、彼女は冷たく「そうですよね」と、なぜか少し怒った様子。思わず「買い直しましょうか」と口にするシュタルクに、「これはシュタルク様が一生懸命選んで私にくれたものです。二度とそんなこと言わないで」と、プイッと顔を背けてしまう。そんな2人のほほ笑ましいやりとりを、ザインは温かな目で見守っていた。

互いの距離を少しずつ縮めていきながら、日に日に馬車を完成させていくシュタルクたち。その一方で、フリーレンは“何か”に思い詰めたように作業にも参加せず、毎晩夜営を抜け出していた。そしていよいよ出発を翌日に控えたその日、フリーレンはまた暗い森の中でひとり何かを探していた。気づいたフェルンがその目的を尋ねると、返ってきた答えは「ヒンメルからもらった指輪」。ハッとしてフェルンは、すぐに手伝い始める。きっと鳥型の魔物に襲われた際に誤って空高くから落としてしまったのだ。

フリーレンが“指輪”を手にしたちょうどその時、馬車は魔物に襲われた

見つかるまでは出発を待ってもらうと話すフェルンに、半分諦めモードのフリーレンは言う。「今夜見つからなかったら諦めるよ。なくしものには慣れている」。ヒンメルからもらったものは、あの指輪だけじゃない。そう自分に言い聞かせるフリーレンに、フェルンはザインから聞いていた「鏡蓮華」の“花言葉”を伝える。もしかしたらヒンメルは……。しかしそんな考えを見透かすように、フリーレンは「ヒンメルもそんな花言葉知らなかったと思うよ」と、背を向けたまま返す。……例えそうだとしても、花言葉の意味を知らないシュタルクが一生懸命選んでくれたことを知っているフェルンは言う。「それでも、きっと大事なものです」

野営地に戻った先でシュタルクたちにも相談したところ、装飾店を営む商人からまさかの解決策が告げられる。「私の村でも昔から装飾品をなくされる方はそれなりにいました」。商人がフリーレンに手渡した茶色い巻物は、魔物を撃退した今回の報酬〈失くした装飾品を探す魔法〉だったのだ。さっそく空高く舞い上がったフリーレンは、眼前に広がる森の中から小さな指輪を探す。魔法を使い、ダウジングのように杖(つえ)を操る彼女の頭には、“あの日”の思い出がよみがえっていた。

……それは、生臭坊主のハイターが酒場をチェックしていて、ヒンメルが「あとで一緒に買い物に行こう」と誘ってくれた、時計台のある街の風景。「フリーレン。君は今回の討伐依頼で頑張ってくれたからね、好きなものを選んでくれ」。笑顔で話すヒンメルと露天に並ぶアクセサリリーを前に、フリーレンは「魔法店の方がうれしいんだけど」とぼやきながら適当な指輪を選んだ。「真面目に選びなさい……」。少し寂しそうなヒンメルだったが、「鏡蓮華」の指輪を見てハッとした表情を浮かべる。そう、彼はきっとその花言葉を知っていた。そうしてヒンメルは指輪を買うと、「ありがと」と簡素に手を差し出すフリーレンの前にひざまずく。彼女の左手をそっと手に取ると、久遠の愛情を意味する「鏡蓮華」の指輪を薬指へと通した。その一連はあまりに華麗で、フリーレンはヒンメルをただ見つめていた。一瞬、だけどいつまでも続くような時間のなかで、温かな夕焼けと鐘の音がふたりを優しく包んでいた。

フリーレンが“指輪”を手にしたちょうどその時、馬車は魔物に襲われた

◆ヒンメルの“イケメンっぷり“に視聴者から反響が多数

フェルンの誕生日プレゼントをきっかけに「鏡蓮華」の花言葉、そして勇者ヒンメルとフリーレンの淡い思い出が明かされた第14話。花言葉を知らないであろうフリーレンに、ヒンメルがさながらプロポーズのような指輪の贈り方を見せたシーンでは、「完全にプロポーズでした」「切なさマックスすぎて苦しいぃ……ヒンメル様イケメンすぎるでしょ……」「100点だった」「指輪をはめる場面をもう一度見たくて録画をもう5度くらい見てしまったw」など、そのスマートすぎる様を賞賛する声がSNSに飛びかった。これまでにもファンから「回想がある度に株を上げる男」と称されていたヒンメルは、今回のエピソードでまたも視聴者の心をわしづかみにしたようだ。

『葬送のフリーレン』第15話「厄介事の匂い」は、12月15日(金)よる11時15分から「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国30局ネット)にて放送予定。※金曜ロードショー拡大のため通常放送時間から変更

©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

© 株式会社 日テレ アックスオン