早く日常取り戻したい 県内大雪、輪島で復旧続く 朝市通り、除雪励む

除雪作業を進める市民=23日午前10時、輪島市の朝市通り

  ●住民、停電にうんざり

 大雪で孤立集落が発生した輪島市では、23日朝から市民が除雪作業に励んだ。晴れ間がのぞく時間帯もあり、「少しでも早く日常を取り戻したい」と降り積もった雪をどかした。市内では孤立集落が一部で解消し、自主避難所で不安な夜を過ごした人が帰宅した一方、依然として100世帯以上が孤立状態となっており、懸命な復旧作業が続いた。

 3世帯7人が孤立していた輪島市門前町四位では、地元の業者が倒木を取り除き、除雪を行ったことで午前10時半ごろに孤立が解消した。区長の谷真佐治さん(76)は「孤立を解消してくれてありがたい」と安堵(あんど)の表情を見せた。ただ、高齢者が9割以上という地区一帯では停電が続いており、谷さんは「電気毛布が使えないので寒い。石油ストーブと、足や腰にカイロを貼って暖まっている。電話も使えず、早く電気が復旧してほしい」と、うんざりした表情で話した。

 自主避難所となった穴水町さわやか交流館プルートでは、3人が一夜を過ごした。輪島市門前町二又川の古谷喜久雄さん(83)は内灘町の病院を受診後に自宅に帰る予定だったが、穴水町で特急バスを降りた後、路線バスが運行していないことを知り、妻(77)と一緒に身を寄せた。古谷さんは「自主避難所があって良かった。早く家に帰りたい」と話した。

 輪島市の朝市通りや飲食店前では、駐車場などの除雪が進められた。河井町の飲食店「やぶ新橋店」の木村幸子さん(77)は「昨日は昼に店を開けたが、お客さんは来なかった。雪が多くてお客さまを迎える状態じゃない」と嘆き、雪かきを続けた。

  ●門前高野球部、商店街で雪かき

 輪島市の總持寺通り商店街などでは、門前高野球部約30人が午前8時半ごろから、店先などの除雪に汗を流した。酒・衣料を取り扱う商店「幸福さん」の店主平田れつ子さん(66)は「昨日から何度も雪かきをして大変だった。とてもありがたい」と笑顔を見せ、前川知貴主将(2年)は「普段から応援してくれることへの感謝の気持ち。大変な思いをしている人を少しでも助けたい」と話した。

雪かきに取り組む門前高の野球部員=23日午前9時、輪島市門前町

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