拠点はカンボジア…特殊詐欺を首謀、容疑の男2人を逮捕 還付金名目で29万円窃取 口座調達の男はすでに逮捕

キャバクラ店が入る雑居ビルを家宅捜索する捜査員ら=6月9日午後、埼玉県さいたま市大宮区

 医療費の還付金名目で現金を振り込ませ窃取したとして、埼玉など9道府県警察合同捜査本部は22日、電子計算機使用詐欺と窃盗の疑いで、いずれも住所、職業不詳の男(40)と男(36)を逮捕した。2人はカンボジアを拠点とした特殊詐欺グループの首謀的立場で犯行の指示役とみられ、同本部は余罪など詳しく調べている。

 逮捕容疑は昨年9月15日午後5時57分~同6時ごろの間、大阪市鶴見区内の金融機関で、同区居住の無職女性=当時(74)=に医療費の還付金があると装い誤信させた上で3回にわたりATMから指定の口座に計29万6101円を振り込ませ、同日午後6時7分ごろ、越谷市内の金融機関のATMで29万6千円を引き出し窃取した疑い。同本部は共犯事件のため、認否を明らかにしていない。

 同本部によると、この事件ではこれまでに振込先口座を調達したとして、同容疑などでさいたま市見沼区東大宮1丁目、風俗店経営の男(53)=窃盗罪で起訴=が逮捕されていた。

 風俗店経営の男は交流サイト(SNS)経由で口座情報などの買い取りを行っており、6月に実施した同容疑者が経営する同市大宮区内のキャバクラ店への家宅捜索では、他人名義のキャッシュカードや通帳などを押収。約160の不正売買口座が判明し、うち30口座が詐欺事件に使用されており、捜査の過程で40歳の男と36歳の男の2人の特殊詐欺事件への関与を特定した。

 11月8日には、カンボジアを拠点とする別の特殊詐欺グループのかけ子とみられる日本人25人が逮捕されており、同本部は40歳の男ら3人と関わりがあるとみて、組織や金の流れなど全容解明を進めている。

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