今や箱根駅伝中継の風物詩 神奈川・二宮町の「フリーザ軍団」がコスプレより大切にしていること

コース近くでポーズを取るフリーザ軍団(フリーザ軍団提供)

 「初めはひっそり目立ちたかった」

 正月の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)で人気漫画「ドラゴンボール」に登場する悪役キャラクター「フリーザ」に扮(ふん)し、声援を送る5人組メンバーの男性(本名非公表)は、沿道に立ったきっかけを語る。

 「フリーザ軍団」のメンバーは二宮町ゆかりの男性5人組。元々は2005年ごろ、テレビに映ろうとコスプレをして町内のコース沿いに立ってみた。なかなかうまくいかず、いつしか子どもの頃に慣れ親しんだフリーザに行き着いた。

 コスプレ以上に大切なのは場所選び。メンバーは「定点カメラは毎年微妙に位置が変わる。一度場所を決めると、すぐ沿道がギャラリーで埋まるので修正は利かない」と苦労を語る。大会は真冬の正月三が日。「白のタイツだけではさすがに寒い」。常に楽しそうに体を動かしているのは、実は寒さ対策でもある。

 近年はテレビに映し出されることが減ってきているという。「やはり意識的に映らないようにされているのかも」と笑う。それでも、交流サイト(SNS)でリアルタイムで一挙手一投足が投稿されるなどファンは多い。北陸地方からわざわざ訪ねて来てくれた人もいたし、お土産を差し入れてくれた人もいた。

 復路の7区を走り終わったランナーがわざわざ、フリーザ軍団に会うために現場まで戻ってきてくれたのは今となってはいい思い出だ。始めた当初「いつまで続けるの」と言われ続けた両親からも、好意的に受け止めてもらえるようになったという。

 「大会運営に悪影響が出ない限り続けて、二宮町を盛り上げていきたい」と語るメンバー。「二宮町に人を呼びたい」との思いを胸に、節目の100回目も沿道に立つつもりだ。 

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