岡田監督が来春1軍キャンプ入り決めた!伊藤将司に続く阪神の次世代を担う左のエース候補とは!?【プロ野球ブレイク候補2024】

虎の次世代を担う左のエース候補は2022年ドラフト、高卒No.1左腕!

︎阪神タイガース 門別啓人(もんべつ けいと)

近い将来、ローテーションピッチャーとして

2022年ドラフト会議でイの一番に名前を呼び上げられた「高卒左腕」が、この門別啓人だ。つまりは“高卒世代ナンバーワン左腕”。出身は北海道。小学校入学前に札幌ドームの日本ハム戦を観戦し、小学校入学直後から地元の少年団で野球をはじめ、小6年時にファイターズジュニアに選出。富川中では軟式の道選抜。東海大札幌時代は甲子園とは無縁だったが、シンプルで無駄のないフォームから最速150キロの直球を軸にスライダー、カーブ、スプリットを投げ込む本格派左腕である。

なかでも「右打者への内角のライン(=クロスファイア)が高校生とは思えない角度」(担当の葛西稔スカウト)で、右打者に対する内角へは真っ直ぐのみならず、どの球種でも投げ込める技術もある。

そのため「わりと早めにゲームでのパフォーマンスができる」(同スカウト)、あるいは「近い将来、ローテーションピッチャーとして投げてもらえる存在」(畑山統括スカウト)というコメントからも、高卒でありながらも即戦力に近い評価を受けて、阪神からドラフト2位という高い順位での指名・入団となった投手だ。

大崩れしない粘り強さとたくましさ

実際、阪神でもまずは体力作りを優先させるケースがスタンダードとなりつつあるなか、門別啓人は早い段階からファームの先発ローテーションの一角に加わっている。注目はやはり150キロ近い直球でバッタバッタと三振に切ってとるスタイル…といいたいところだが、現時点では、走者を出しながらも大崩れしない粘り強さに、たくましさを感じさせる投手である。

たとえば6月1日の中日戦(二軍戦)では5回に11安打を浴びるも自責点はわずかに1。全てのイニングに走者を背負いながらも「しっかり粘って、走者が出ても投げられた」(門別啓人)結果が粘投につながった。この試合、投げる側としては常に劣勢にありながら、110キロにも満たないスローカーブを多投しているあたり、度胸のよさも相当なようだ。

とはいえ、この試合を含めリーグ序盤は相手打線を無失点に抑えきれない状態が続いたのもまた事実だったのだが、転機となったのが7月中旬に選出されたフレッシュオールスター。この時、「自分の感覚がしっくりくる感覚があった」らしく、直後のウエスタンリーグ・広島戦では先発して6回4安打無失点。二軍戦ながら先発初勝利をおさめるなど、“しっくりした感覚”が即座に結果となって表れるのだから、大したものである。

結果、ファームでは12試合に登板し、2勝2敗2S、投球回数55回で被安打50、与四球15、43奪三振、自責点17で防御率は2.78。ちなみに同僚の西純矢は13試合に登板し、3勝3敗、投球回数53回で被安打35、与四球14、39奪三振、自責点17で防御率2.89。ファームでの成績とはいえ、一軍での実績のある西純矢とほぼほぼ同じような数字を並べているあたりにも、門別啓人のポテンシャルがチラリと見える。

一軍の舞台を経験も「全然緊張しなかった」

シーズン終盤には高卒ルーキーながらも一軍に初昇格。9月15日の広島戦で3回から2番手で登板、3回を3失点も、9月30日には広島戦でプロ初先発。こちらは「全然緊張しなかった」とうい言葉通りの落ち着きっぷりで、5回まで投げて7安打を許すも無失点。「一番の持ち味」という140キロ中盤の直球を軸に、これも代名詞の1つであるスライダーと緩いカーブ、そしてフォークを織り交ぜた95球で与えた四球は0。

一方で「二軍戦では出ない反省も見つかりました。クイックで投げたら少し力が落ちて、一軍では通用しなかった。スライダーも通用しなかった」ともいうが、シーズン終盤に一軍の舞台を経験し、課題が見つかったのは大きな、大きな収穫だ。

自分の感覚があるんやろな

こうして迎えた安芸での秋季キャンプで、門別啓人はまずは軸となる直球を磨いた。テーマは“球数が落ちても力強さを落とさないように、制球も乱さないように”。そのうえで「スライダーにも課題があるので、スライダーでも空振りを取れるようにしたい」とも。

岡田監督も、門別啓人を見逃さない。

「自分の感覚があるんやろな。“ええボールがいってる”というな。別に力むこともないし、腕振って投げたらいいボールがいくっていうのが、わかってるんちゃう?」と評価。同キャンプ序盤には来春の宜野座キャンプへの参加も早々と内定通知。先発ローテ候補として経験を積ませる方針だ。

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