妊娠育児の相談増加 いばらき妊娠・子育てほっとライン 県窓口「若い親の孤立防ぐ」

LINE相談に目を通す助産師=水戸市内

妊娠や育児に関する茨城県の相談窓口「いばらき妊娠・子育てほっとライン」への相談件数が増えている。運営する茨城県助産師会が電話に加え、通信アプリ「LINE(ライン)」を導入後、過去最多ペースに拡大。核家族化の中、若い親が悩みを抱え、周囲に相談しにくい状況がうかがえるという。担当者は「孤立しないように相談者を支援したい」と話す。

県が前身の「すこやか妊娠ほっとライン」を設置したのは2012年。21年度には相談対象に「子育て」を追加。県助産師会に業務を委託した。

相談件数は年間300~500件台で推移。子育てを追加した21年度には過去最多の912件を記録。22年度は866件と微減したものの、月平均70件を超えた。本年度は10月まで月90件と、最多を更新するペースで増えている。

このうち、LINEを介した文字のやりとりは月30件超で、全体の3割を超えている。本年度、若者がもっと悩みを打ち明けやすい環境を整えようと導入すると、「妊娠したが、親に相談できない」といった相談が増えた。

電話やLINEで寄せられる相談は、自分の子どもの発育に関する悩みも多いという。相談員で、同会理事の畠山みき子さんは「たくさんの子育て情報がネット上にあふれ、自分の子どもを必要以上に比べて悩みがち」と指摘する。核家族化により、身近に相談できる人が少ないことも「相談増加の要因の一つではないか」とみる。

窓口の開設は木曜を除く平日。相談にはベテランの助産師9人が交代で対応する。気を付けるのは「こうすべき」などと断言せず、最終的に本人が自ら判断できるよう対応するという。関係機関との連携や県委託事業の「県助産師なんでも出張相談」を紹介するなど幅広い対応を心がける。

県少子化対策課は、相談窓口の存在を広く知ってもらおうと、高校生や新成人に案内するなど周知に取り組む。畠山さんは「気軽に利用し、子どもたちの健やかな成長につなげたい」と話す。

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