「町中華」「大衆中華」といえば、安くておいしい日本ならではの料理。
世代性別問わず人気なのが町中華・大衆中華の魅力ですよね。
そんなおなじみの町中華・大衆中華から、本格的な中国料理までラインナップする店が、総社市にあります。
それが「中華 kinomi(きのみ、以下 kinomi)」です。
しかも店舗は木のぬくもりを感じさせる、カジュアルな雰囲気。
一人でもグループでも、気軽に食事が楽しめます。
総社にある注目の中華 kinomiについて、こだわりや魅力を深掘りしていきましょう。
中華 kinomiは総社市街地にあるカジュアルな中華料理店
kinomiは、総社市中心部の駅南二丁目にある中華料理店です。
いわゆる大衆中華とか町中華などと呼ばれるジャンルの店ですが、上海(シャンハイ)・四川(シセン)・広東(カントン)料理といった本格的な中国料理のメニューも楽しめます。
店舗はもともとカフェだった建物で、一見すると中華料理店に見えません。
木のぬくもりを感じる広々とした店内は、とてもおしゃれな印象。
窓から日が差し、店内は明るい雰囲気です。
席はテーブル席がメイン。
カウンター席もあります。
半個室にできるテーブル席は、6〜8人がけ。
中国料理でよく見かける、5人がけの円卓もありました。
外にはテラス席(4人がけ)が1卓あります。
気候がよければ、外で食べるのも良いでしょう。
メニュー紹介
2023年11月時点の情報。価格は消費税込
kinomiでは、昼と夜でメニューが異なります。
昼は、少数精鋭のラインナップです。
昼の人気メニューは「四川麻婆豆腐定食」「タンタンメン」「ギョーザ」「中華どん」など。
また「サンラータンメン」は、一定のファンがいるメニューとのことです。
「週替わり定食」は、安定した人気があります。
内容は店頭や店内の黒板に記載されているので、確認してみてください。
いっぽう夜のメニューは非常に幅広くラインナップしており、品数がとても多いです。
一部を紹介すると、以下のとおり。
夜の人気メニューをピックアップすると以下のとおりです。
- よだれ鶏
- よっぱらいえび
- 麻婆豆腐
- 酢豚(あまず、くろず)
- ギョウザ
- はるまき
- ユーリンチー
- てんしんハン
- 焼そば各種
アルコール類などドリンクもあり、夜は酒を飲みながら料理も楽しむのもおすすめです。
また夜メニューには、「鴛鴦(えんおう)薬膳火鍋コース」もあります。
2人以上からの完全予約制で、3日前までに予約が必要です。
店のイチオシ・人気のメニュー
kinomiの店イチオシのメニュー、利用者から人気のメニューを紹介します。
四川麻婆豆腐定食
「四川麻婆豆腐定食」(980円)はkinomiの看板メニューであり、お客からとても人気があります。
メインの四川麻婆豆腐のほか、ごはん、スープ、漬物類、ミニサラダ、デザートといった内容です。
提供されて驚くのが、メインの四川麻婆豆腐。
なんと熱々の土鍋に入って提供され、グツグツ・ユラユラと沸騰しながら湯気が上っているのです!
これは非常においしそうで、食欲がさらにそそられます!
たくさんのサイコロ状の豆腐と挽き肉のほか、青ネギも入っていました。
そして、香辛料がタップリとかかっているのがわかります。
食べると、もちろん熱々。
そしてピリッとした辛さ、ホアジャオのしびれと風味が広がります。
挽き肉のうまみや豆腐の淡泊な味わいと一体になり、ごはんがドンドンと進むおいしさ。
麻(マー:しびれ)と辣(ラー:辛さ)がシッカリと利いている、本格的な麻婆豆腐でした。
なお、土鍋で提供されるのは昼のみ。
夜は単品(980円)のみで、皿での提供となりますが、量は多めです。
タンタンメン
「タンタンメン」(890円)も人気メニューのひとつです。
中央に山盛りされたカイワレダイコンがあるのが印象的。
カイワレダイコンの下には、挽き肉があります。
ほかの具材は、モヤシと刻み白ネギ。
スープは一般的なタンタンメンのイメージに比べ、やや白っぽい印象です。
スープは鶏ガラと豚骨ダシの醤油風味です。
これはkinomiの麺類共通となる基本のスープとのこと。
スープを一口すすると、ゴマのまろやかな風味が口内に広がってきます。
そして甘辛い味わいに適度なピリ辛さ、挽き肉の味わいが感じられ、カイワレやモヤシ、白ネギのシャキシャキとした食感がアクセントに。
細めのストレート麺がスープとよく絡みます。
これは、ごはんが欲しくなる味わいです。
なお、ごはんは単品で注文できます。
サンラータンメン
「サンラータンメン」(980円)は、固定のファンがいるメニュー。
「サン」は酸味、「ラー」は辛さを意味し、文字どおり「酸っぱ辛い」味わいが特徴の麺類です。
褐色のスープの上から、朱色のラー油が垂らされています。
具材は細かく刻まれており、とても種類が豊富です。
入っている具材は溶き玉子、シイタケ、タケノコ、豆腐、豚バラ肉。
具だくさんで、満足度は高いのではないでしょうか。
食べるとスープはとろみが強めで、非常に熱々。
そして、強めの酸味とピリリとしたコショウの風味がやってきます。
麺はタンタンメンと同じく、細めのストレートです。
とろみのあるスープと細かく刻まれた具材が麺に絡んで、食欲が進む味わい。
好きな人にはたまらない味だと感じました。
kinomiのサンラータンメンはとろみのある熱々スープ、強い酸味とコショウの風味、さらに具だくさんで、クセになる一杯です。
中華どん
「中華どん」(880円)は町中華の定番のひとつで、kinomiでも安定した人気があります。
褐色のアンとともに、たくさんの具材が入っているのが特徴です。
具材の種類は、以下のとおり。
- エビ
- イカ
- タケノコ
- ヤングコーン
- ニンジン
- キクラゲ
- シメジ
- チンゲンサイ
- ハクサイ
- 豚バラ肉
アンは、とろみが強め。
醤油風味で甘味のある味わいです。
またコショウが適度に利いていて、ちょっぴりスパイシーな風味がクセになります。
ごはんとの相性抜群で、ドンドンと食べ進めてしまいました。
てんしんハン
「てんしんハン(天津飯)」(890円)は、夜のみのメニューです。
天津飯といえば、岡山県あたりでは醤油風味や塩風味が多いですが、kinomiでは関東に多い甘酢風味のアンなのが特徴。
また卵をふんだんに使用していて、玉子の外側はフンワリ、内側はトロッとしています。
玉子の中には、カニの身が入っているのもポイントです。
食べると、厚みのある玉子のフンワリ・トロトロの食感と風味とともに、甘酢アンのとろみと甘味・酸味が絡みます。
それがごはんととてもよく合い、アッという間にペロリと平らげてしまいました。
私は甘酢アンの天津飯は食べたことがありませんでしたが、とてもおいしいと思います。
カジュアルな雰囲気の店舗で、多彩な中国料理・大衆中華料理を提供する中華 kinomi。
代表の松森大典(まつもり だいすけ)さんへインタビューをしました。
代表・松森 大典さんへインタビュー
カジュアルな雰囲気の店舗で、多彩な中国料理・大衆中華料理を提供する中華 kinomi(きのみ)。
代表の松森大典(まつもり だいすけ)さんへインタビューをしました。
調理専門学校から中国料理・大衆中華料理の世界に
──開業以前は何をしていたか。
松森(敬称略)──
もともと私は総社市の出身です。
進路を考える際に「ほかの人とは違ったことをやりたい」という気持ちがあり、たまたま周囲に料理の道に進む人がいなかったので、深く考えずに料理の世界を選びました。
そして調理専門学校へ進学したのですが、選んだ専攻は和食。
いま思えば、このときに学んだことは現在とても役立っていると感じています。
中国料理の世界に入ったのは、専門学校を卒業してからです。
中国料理に興味があったというより、違った世界ものぞいてみたかったという感じですね。
たまたま先生の知人に東京でヌーベルシノワ(斬新な創作中国料理)系の上海料理店をやっているかたがおり、紹介されてそこへ就職しました。
以降、東京や神奈川などで、複数の中国料理や大衆中華料理(町中華)店で働きました。
庶民的な店から、本格的な高級店まで多岐にわたります。
1年ほど、本場・中国の広東省での修業も経験しました。
大衆中華料理店にも長くいたのですが、実は大衆中華の経験が一番いまに生かされていると感じています。
帰郷からコロナ禍を経て、地元総社で開業へ
──開業の経緯を知りたい。
松森──
地元を離れる際に、いずれは故郷・総社に戻るつもりはありました。
料理の世界に足を踏み入れたのですから、総社で飲食店をやりたいという気持ちは持っていましたね。
とはいえ年をとってからではいろいろと大変でしょうから、ひとつの目標として30代で総社で店を開くと決めました。
でも出産・育児などさまざまな状況の変化があり、なかなか総社に帰るタイミングがなかったんです。
総社を離れて20年が経過したころ、帰郷するのに良いタイミングになったので、2020年に総社へ帰郷しました。
──2020年といえば新型コロナウイルス感染症が流行しはじめたころでは。
松森──
そうなんです。
せっかく帰郷したのに、新型コロナウイルス感染症が流行し、開業どころではありません。
そこでコロナ禍の期間を利用して、出店の準備をしようと考えました。
総社を離れて20年経過していると、正直「浦島太郎」のような状態で、現在の総社の状況がわかりません。
出店場所はどこが良いか、物件はどんなものがあるか、どんな土地柄なのかなど、少しずつ調べていくことにしました。
総社市街地って意外と人気で、なかなか出店するのに適した物件が見当たりませんでしたね。
一時は真備町など近隣での出店も考えましたが、知人から現在の物件を紹介され、ここで出店することにしました。
もともとカフェをしていた建物なので、雰囲気も良く、キャパシティ面でもちょうど良かったんです。
こうして中華kinomiをオープンさせたのが、2022年5月2日。
結果として39歳で開業したので、ギリギリ30代での開業に滑りこめました(笑)
ちなみに出店準備中に知人の紹介で、「大国屋」という市内のシェアキッチンのような日替わりの店で料理の提供させていただきましたね。
ここでも貴重な経験をさせていただきました。
地元の鬼身山のように多くの人が集まりつながる店を目指す
──開業しての手応えは。
松森──
開業以降、おかげさまで非常に多くのお客様にお越しいただき、リピーターのかたも多いです。
総社市には「広珍」や「鶴八」といった昔から営業した人気の老舗町中華がありました。
しかし2010年代に入り、相次いで廃業したんです。
ですから総社市民は「町中華ロス」状態だったのではないでしょうか。
そんな状況での開業ですから、多くのかたに足を運んでいただいているのかもしれません。
──店名の由来を知りたい。
松森──
kinomiというのは、私の出身地である総社市山田地区のシンボルの鬼身山(きのみやま)・鬼身城(きのみじょう)跡から取りました。
地元では定番の初日の出スポットで、多くのかたが登ります。
私も帰省した際には、よく登っていました。
総社へ戻ってきて鬼身山に登り初日の出を見たとき、非常に大勢のかたが登り集まっていたんです。
地元に住んでいる人も、地元を離れて一時帰省している人も。
こんな田舎にある山なのに、すごい力だなと感じました。
開業の際、鬼身山のようにいろいろな人が集まるような店にしたいとの思いで、鬼身山の名前をいただくことにしたんです。
ロゴマークは、「きのみ」の「の」を図案化しています。
日本語の連体助詞の「の」は、単語と単語をつなぎますよね。
そのように、人と人がつながる店を目指したいと思っています。
利用客とともに成長していく店にしたい
──kinomiの特徴は?
松森──
当店は広東料理とか四川料理とか突出した専門分野を打ち出すのではなく、本格的な各種中国料理から日本の大衆中華料理まで、幅広くバラエティー豊かに提供しています。
いろいろな中国料理・大衆中華料理を、カジュアルに楽しんでもらいたいですね。
あと意識していることは、お客様とともに成長していく店にするということ。
私は総社出身といっても、料理経験は東京や神奈川でのみ。
開業して2023年11月で1年半ですから、総社にお住まいのかたの味の好みなどはまだわかりません。
なのでお客様の声を聞きながら、変化させるべきところはさせていくつもりです。
たとえば酢豚が人気なのは、意外でした。
開業の前に、いまはなき総社の名店・広珍でどんなメニューが好きか、周囲に問うてみたことがあります。
すると、圧倒的に酢豚という意見が多かったのです。
ですので開業時、酢豚に力を入れました。
いまも酢豚は夜の人気メニューのひとつ。
ちなみに、酢豚は甘酢味と黒酢味の2種類をご用意しています。
ユーリンチーもよく出るので、もしかしたら甘酸っぱい味わいを好む人が多いのかもしれませんね。
あと、あんかけ系の料理が人気なのも意外でした。
このようにお客様とともに、店を成長させていきたいです。
開業3年を迎えるため、残る1年半は現状の継続に集中
──今後の展望、やってみたいことを教えてほしい。
松森──
私は店が軌道に乗るまでは、3年ほどかかると考えています。
いま(2023年11月現在)は開業から1年半で、ちょうど中間地点です。
これまではとにかく店を運営していくため、いろいろと試したり変えたりしてきました。
開業から1年以上経ち、年間の流れもわかりましたし、やっと自分の仕事のペースがつくれてきたかなと感じています。
ですから、残る1年半はこれを継続していくことに焦点を当てていくことが目標ですね。
そして3年経過したら、いろいろな挑戦や実験的なことなどをやってみたいと思っています。
まずは1年半、いまの状態を継続することに集中し、開業3年を迎えたいですね。
カジュアルな雰囲気で町中華・大衆中華から本格的な中国料理まで楽しめる「中華 kinomi」
幅広い中国料理・大衆中華料理の経験に裏打ちされた多彩なメニューをラインナップし、地域に根差した店を目指す中華 kinomi。
カジュアルに楽しめるランチや、幅広いメニューが楽しめるディナー、それぞれ魅力があります。
一人でも、友人や家族連れなどのグループでも気軽に楽しめるので、ぜひ一度kinomiの料理を味わってみてはいかがでしょうか。