大谷翔平と山本由伸との大型契約に絡んで英紙がチェルシーの補強を批判する理由 「ホームグロウン選手は単なる財源か」

大谷翔平と10年7億ドル(996億円)で契約を結んだMLBロサンゼルス・ドジャース。

山本由伸とも12年3.25億ドル(462億円)で契約する見込みと伝えられている。さらに、タイラー・グラスノーとの契約延長も含めると、ドジャースの今オフの投資額は10億ドル(1424億円)を超える。

そうしたなか、英紙『Mirror』が「チェルシーのオーナーであるトッド・ボーリーは浪費を続けるなか、またマイルストーンを達成。信じられない出費にもかかわらずサッカーで結果を出すことに苦労してきたが、MLBでも大金投入を続けている」としてこの話題を取り上げていた。2022年にチェルシーを買収したトッド・ベーリー氏はドジャースの共同オーナーのひとりでもある。

「ボーリーと彼のコンソーシアムがチュルシーの実権を握った後、金が流れるようになった。この億万長者のビジネスマンはファイナンシャルフェアプレー規則の危険な抜け穴を利用し、移籍金を分散させるために異常に長い契約を提示し始めた。

ボーリーがチェルシーで採用したテクニックは、彼の個人投資としては過去最大になるとんでもない動きの先駆けともいえる。それは大谷翔平との契約だ。ドジャースは日本の天才と7億ドルの契約を結んだが、そのうち6.8億ドル(968億円)の支払いは先送りされる。

大谷の給与支払い先送り合意は、野球界では決して画期的なことではない。支払いの繰り延べは何十年も野球の契約の一部だった。最も悪名高い例は、ボビー・ボニーヤとニューヨーク・メッツが1991年に結んだ契約。それは2035年まで年俸の支払いがあるというものだった。

ボーリーは繰り延べされた金を大谷の同胞である山本獲得とグラスノーとの契約延長に投資。ドジャースの支出額は10億ドルを超えた。

ボーリーのスポーツ界での成功にかける意欲はチェルシーでも見てとれるが、彼は間違いなく成功へのスムースな移行を望んでいる。オーナー就任後最初のシーズンでチェルシーはプレミアリーグ12位と低迷、今季も10位と苦しんでいる。

彼がチェルシーを買収した2022年5月以降、25選手の獲得に10億ポンド(1800億円)を費やしてきた。選手売却で帳尻を合わせるしかないが、ホームグロウン選手との決別は不可避だ。これは苦しむチェルシーのなかで奮闘してきたコナー・ギャラハーのような選手が1月の移籍市場で売却されうるということ。得られる移籍金は純粋利潤になるからだ。

この夏にチェルシーはメイソン・マウントらをアカデミー出身選手たちを売却して、1.1億ポンド(198億円)もの純粋利潤を捻出した。このアメリカ人オーナーのもとでは、ホームグロウン選手は単なる財源に過ぎないようだ。マウリシオ・ポチェッティーノ監督は、中盤における重要性からギャラハーの残留を望むだろうが、チェルシーが巨額出費と異常に長い契約を続けている以上、バランスシート上の価値は戦術的なメリットを上回る可能性が高い」

ボーリーはチェルシーでもMLBでの契約手法を導入。早期成功のために大金を投じて選手を獲得する一方、アカデミーで育成された若手たちは売却するための財源扱いになっていると現地で危惧されているようだ。

ただ、FIFAは選手の契約年数を最大5年に制限しており、UEFAとプレミアリーグもこれに準拠するようになったため、今後はチェルシーの長期契約手法は意味をなさなくなりえる。

「最も嫌われている」5つのチーム

なお、山本投手とドジャースとの契約はまだ正式発表はされていない。

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