サイバー防御、議論進まず 装備品輸出協議の遅れ影響

 サイバー攻撃に先手を打って被害を防ぐ「能動的サイバー防御」の導入を巡る議論が進まない。政府は今年秋にも有識者会議を設置し、与党も協議を始めて法的課題の精査に取り組む考えだったが、いずれも来年に持ち越した。防衛装備品輸出ルールに関する自民、公明両党の実務者協議が大幅に長引き、メンバーが重なるサイバー対策の議論に影響した格好だ。

 能動的サイバー防御は、重大な被害が予想される攻撃を未然に察知し、相手方のサーバーに侵入して無害化する対応。憲法21条が定めた「通信の秘密」を侵害する恐れも指摘されている。

 このため、政府は有識者会議でサイバー対策の専門家や通信事業者、法学者らに意見を聞き、どのような措置や法整備が可能かを検討。与党でも関係議員による協議をほぼ同時並行で進め、導入に向けた課題を整理する段取りを描いていた。

 ところが、6月に終える予定だった防衛装備品を巡る与党協議が難航し、ようやく今月13日に第1弾の提言がまとまった。結論が出ていない論点について、年明けに議論を再開する。

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