子どもが「犬を飼いたい」と言ったら ~命を迎えるということ~

こんにちは。内田友賀です。

メリークリスマス! 皆さんはどんなクリスマスをお過ごしですか?

幼い頃にサンタクロースにお願いしたプレゼントのなかで、我が家で忘れられないものがあります。

私は三姉妹の長女で、末っ子の妹は大の動物好きでした。幼稚園の頃から、毎年サンタクロースへ「いぬがほしいです」という手紙を窓に貼っていましたが、次女が小児喘息だったために犬が飼えず、いつも「犬のぬいぐるみ」が枕元に置かれていました。

右が、35年前に「本物の犬」の代わりにやってきたシュナウザーくん

「また今年も、サンタさん間違えちゃったんだね」と寂しげに言う両親に、めげずに翌年も「こんどこそ、ほんもののいぬをください」と書き続けていたことを思い出します。

そんな末っ子も、成長するなかで「犬を飼えなかった理由」を知ります。

しかし彼女が15歳になったころ、次女の小児喘息も完治。我が家に待望の柴犬「さち」を迎えることができ、10年越しの願いが叶ったのでした。

いつの時代も、「クリスマスには、犬が欲しい!」と懇願する子どもの気持ちは世界共通のようです。

今日は、子どもが「犬を飼いたい」と言ったときの気持ちに、家族としてどう向き合うか、というお話をさせて頂きます。

子どもは「命」に潜在的な興味を持っている

子どもたちの成長過程において、命に興味を持つというのは健全な成長の証でもあり、ごく自然な気持ちです。私たちが実施する小学校の動物介在教育でも、犬を通じて「生きている」ということを体感し、探求心を引き出す工夫をしています。

子どもたちが命に興味を持つ切り口としては、「死んでしまうこと」「動くこと」などの生死への興味のほか、母親が自分にしてくれているような「世話をする」「愛情をかける」という疑似体験への興味があると感じています。

いわば、“おままごと”的な感覚が大きいペット飼育への興味ですが、お世話をされる側からする側への転換というのは、とても大切なことだと思っています。

まずは、小さな生き物から

しかし、犬を迎え入れるというのは子どもが一人増えるようなもの。

子どもにとって良いというだけで全ての人に勧められるわけではありません。そこで、まずは子どもが命に興味を持った心の成長を受け止め、それは素晴らしいことだと伝えたうえで、飼える生き物を探してみると良いと思います。そして、どんな環境になったら飼えるのかを、子どもが理解できる言葉で伝えることが大切です。

名前を付けて、お世話をする

人は心理的に、名前を付けたものに愛着を感じやすいと言われています。そこでまず、迎えた動物に名前を付けることから始めましょう。そして、家族でたくさん名前を呼びながら、子どもが責任を持って出来る「お世話の係」を作ってあげてください。それを「やること表」で可視化したり、日記にしたりしても良いと思います。

その中で、生き物はお世話をしないと死んでしまうこと、子どもだけでは充分に世話ができないことも教えてあげて欲しいと思います。

命を終えたら、悲しみ感謝する時間を

どんな小さな生き物でも、ペットとしての生涯を終えたら、必ず大人が悲しみ感謝する姿を見せてあげてください。子供の成長過程のなかで、年齢によっては、死を悼み悲しむ気持ちは芽生えていないかもしれません。そんな年齢の子どもたちには、一つの命を家族として迎え、共に過ごして見送るという命を預かる責任は、「言葉」だけでは伝わりません。

だからこそ、大人がしっかりと、いのちと向き合う姿を見せてあげることが大切だと思うのです。

飼えるようになったら、少しずつ意思疎通の図れる動物を

子どもにとって本当に大切なのは、単に動物を飼うということ以上に、抱きしめたぬくもりや、心を通わせる経験だと思っています。親が自分にしてくれたようにしてみて、そして相手から愛情が返ってくる。

そうやってコミュニケーションを図ることで、思いやりの心だけでなく、相手を観察する力、伝える力などが育まれると思っています。

そして、二人だけの関係が生まれた時、子どもにとってペットが心の拠り所となり、良きパートナーになっていきます。

大人ができること

生き物は、必ず子どもの心の成長を助けてくれます。しかし、単に子どもに動物を与えるだけでは、その役目は果たせません。それどころか、子どもと動物の双方がストレスを感じて不幸になってしまうこともあります。

子どもと動物との間には、必ず大人の愛情深い介入が大切です。

ママ~、ぐるぐるで動けないよ~

子どもは、大人がどのように動物への理解や共感、感謝を示すか、その姿を見ています。だからこそまず、私たち大人が、どのように動物と関わり、何を学んで何を伝えていくか、その人間力が問われているのかもしれません。

Lots of love.

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