寒暖差で突然死!ヒートショック予防に「ごぼう・春菊・ねぎ」スープレシピ

胸を押さえる女性(写真:kimi/PIXTA)

ヒートショックとは、急激な温度変化の影響で、血圧や心拍数が大きく変化し、血管や心臓の疾患が生じることだ。軽度であれば、めまいや立ちくらみですむが、最悪の場合、心筋梗塞や脳卒中、大動脈解離などの引き金となり、命取りになることも。

ヒートショックが起きやすいのが、冬場の脱衣所や浴室。厚労省の発表では、ヒートショックが原因と思われる入浴中の死亡は、年間約1万9千人。なんと、交通事故死より多いという。

「寒くなる冬場は、入浴前に浴室を暖めるなどの対策と同時に、体の内側からヒートショックを予防することも大切です」

そうアドバイスするのは、管理栄養士の小原水月さん。

そこで小原さんに、ヒートショックを防ぐ食材を使った冬の温かスープレシピを紹介してもらおう。

■ごぼうと豚肉の塩スープ

1. ごぼう50g(4分の1くらい)をささ打ち(平たくスライス)する
2. 豚こま切れ肉50gを細切りにして1と鍋に入れ、中火で炒める
3. 肉の色が変わったら、水200ml、塩小さじ2分の1くらいを入れる
4. 沸騰してから7分くらい煮る。味見をして物足りなければ塩を足す

「ヒートショックを防ぐには、血管をしなやかに保ち、高血圧や動脈硬化を予防してくれる食材を取り入れましょう。とくに冬が旬のごぼうには、抗酸化作用のあるポリフェノールの一種“クロロゲン酸”が豊富に含まれているので、これからの季節はオススメです」(小原さん、以下同)

ごぼうを水につけておくと茶色いアクが出るが、あの茶色成分が“クロロゲン酸”だ。

「クロロゲン酸は、体内で発生した活性酸素によって傷つけられた血管内部のダメージを修復し、血中の脂肪の酸化を防ぐ働きをしてくれます」

ごぼうと一緒に合わせる豚肉にも、こんな効果が。

「豚肉に含まれている良質なタンパク質には、流れやすい血液をつくる作用があるほか、強くしなやかな血管をつくる細胞のもとにもなっています。

また、豚肉の脂肪部分には“ステアリン酸”という脂肪酸が含まれており、善玉コレステロールを増やす一方で、血管内の余分なコレステロールを排出する働きも担ってくれる優れものです」

ダイエット中でも、多少の脂身は摂取するのがよいという。

■春菊と卵のお味噌汁

1. だし汁200mlを鍋で沸かして、大さじ1杯の味噌を溶く
2. ざく切りにした春菊50g(3本くらい)を1に入れ一煮立ちさせる
3. 2に溶き卵(1個分)を優しく入れる。卵が固まりすぎないようにする

「春菊には、βカロテンが豊富に含まれていて、体内に入ったときに強い抗酸化作用をもつビタミンAに変わります。このビタミンAが血管にコレステロールが詰まるのを防いでくれます。

さらに、血管を広げる作用のあるビタミンEも含まれているので動脈硬化を防ぐには最適の食材といえるでしょう」

加えて、春菊特有の“香り”には、リラックス効果を高めて副交感神経を優位にする効果も。

「“アルファピネン”という成分が香りの正体です。リラックスすると、末端の毛細血管まで拡張され、体の隅々まで血液が行き渡ります。これにより、急な血圧の上昇を防いでくれるのです」

また、スープの最後に投入する卵も、言わずと知れた栄養満点の食材だ。

「良質なタンパク質源であることに加え、卵黄には“レシチン”とビタミンEが含まれているので、強い抗酸化作用や、血管を正常に保つ役割が期待できます。 また、卵白に含まれる“システイン”にも、悪玉コレステロールを減らす作用があるので、動脈硬化を防いでくれるのです」

卵を食べるとコレステロールが増える、と敬遠されていた時期もあったが、「卵を食べたほうが血中のバランスが整いやすい」という。

■長ねぎと鮭の中華スープ

1. 200mlの水に、鶏ガラスープの素大さじ1杯を入れる
2. 塩鮭1切れを一口大に切ったものを1の中に水の状態から入れて煮る
3. 2が煮立ったら長ねぎ10g(半分くらい)を斜め薄切りにして入れて一煮立ちさせる

「長ねぎに含まれている“硫化プロピル”という辛味成分には、コレステロールの代謝を促す作用が。また、傷ついた血管の内側を修復してくれるので、血栓の予防効果も期待できます」

玉ねぎにも同様の成分が入っているので、好みに応じて長ねぎを玉ねぎに替えてもいい。

さらに、合わせて入れる鮭にも、“アスタキサンチン”という強い抗酸化作用のある物質が含まれる。

「アスタキサンチンは、血管の酸化を防いで若返らせる効果があります。また、鮭の脂分に含まれているDHAやEPAなどの脂肪酸には、血中の中性脂肪やコレステロールを減少させる働きがあるので、鮭はヒートショックを防ぐ優等生の食材です」

食材選びに迷ったときは、緑黄色野菜を多く取るとよいという。色の濃い野菜には、抗酸化成分が多く入っているからだ。

こうした食材を摂取することで、体の内側からヒートショックを防ぐ効果が期待できる。しかし「必ず、ご飯も一緒に食べてほしい」と、小原さん。

「ご飯を一緒に食べることで、摂取した食材の栄養素が生かされ、実際に血液をサラサラにしたり、血管の内側を修復したりする効果を発揮できるからです」

いわば、ご飯は食材の栄養素を働かせる“電力”のような存在なのだ。

このような食材を取り入れて、体の内側からヒートショックを防ごう!

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