“次期宮内庁長官”幹部が電撃交代!“剣道&合気道有段者”“小説出版”新次長の意外な素顔

2020年3月、全国知事会の会議で挨拶する総務事務次官時代の黒田武一郎宮内庁次長(左から2人目/写真:時事通信)

宮内庁は、事務方のナンバー2にあたる池田憲治宮内庁次長の退任を決め、後任に総務事務次官を務めた黒田武一郎氏を就ける人事を2023年12月19日付で行った。

「突如行われた人事で、宮内庁を担当する各社の記者たちにも驚きが広がりました。宮内庁次長は、慣例では“次の宮内庁長官”と、そのままスライドする人事がほとんどだからです。体調不安説なども囁かれ、このタイミングで交代したことに注目が集まりました」(皇室担当記者)

宮内庁長官は、慣例では旧内務省(現在の総務省、厚労省、国交省、警察庁など)の各省庁出身者から選ばれることになっている。事情を知る宮内庁関係者によれば、そもそも池田氏は“長官含みの次長”ではなかったようだ。

「過去の宮内庁長官のほとんどは、各省の事務次官OB、警察庁ならば長官や警視総監を経験した60歳を少し超えた官僚が就いてきました。現在の西村泰彦宮内庁長官も、警視総監と内閣危機管理監を務めており、その条件を満たしています。

池田さんは総務省の大臣官房審議官などを務めてはいますが、事務次官の経験はありません。2019年12月に着任したころから、“長官に上がる要件を満たしていない”と言われていましたし、ご本人もはじめからそのおつもりだったと思います。

宮内庁を含めた官庁人事は、国会が開かれていない時期に行われるのが一般的です。また宮内庁長官は、70歳をめどに勇退することも慣例となっており、西村長官は現在68歳。ということは、あと2年で長官候補にあたる次長に、皇室の慣習に慣れてもらい、数多くの引き継ぎを行わなければならないわけです。

もしこのタイミングを逃せば、2024年1月から夏まで通常国会が開いているために時間的な猶予がなくなり、後任の引き継ぎで混乱が生じかねなかったでしょう」

また、宮内庁長官を務めるための“条件”はこれだけではない。宮内庁の事務方を統括する立場として、天皇皇后両陛下による全国各地への行幸啓や外国ご訪問をはじめ、皇室の方々のご公務のさまざまな局面で、各省庁や都道府県などと折衝を重ねる場面が多いとされる。

■宮内庁長官が背負う重責

さらには、日常的に天皇陛下のお側に控え、直におことばに接するという重責も背負うことから、経歴や有能さだけで選ばれることはないという。

「政府や各省庁などと“話をまとめる”には、それぞれの組織についての知識や人脈が欠かせません。ゆえに事務次官以上の経験が、宮内庁長官に求められるのです。さらには、日常的に天皇陛下や皇后陛下とお話しする機会が多いために、人柄も重要視されています。

これまでの長官はいずれも、“いかにも有能な官僚っぽい人”というより、人柄が穏やかで周囲と円満に話せる人が務めてきた傾向があります」(前出・皇室担当記者)

では、新たに着任した黒田次長は、いったいどのような人物なのか。

「黒田さんは1960年2月20日生まれで、2月23日にお生まれになった天皇陛下と、誕生日が3日ちがいの同い年。東京大学法学部卒業後に旧自治省に入省、熊本県副知事や消防庁長官も務め、2019年に総務事務次官に就任しています。

長く総務省に影響力を持ってきた菅義偉前総理にも調整力が高く評価され、気に入られていた官僚の一人です。菅政権時には、日本の官僚機構の頂点とされる事務担当の内閣官房副長官の候補として名前が挙がったこともありました。

趣味は学生時代から続けてきた剣道や合気道で、いずれも有段者。小説を書いて出版したこともあるそうです。部下に対しては、厳しいけれども声を荒げることはないタイプという評価をよく聞きます」(前出・宮内庁関係者)

宮内庁長官は天皇陛下の“最側近”とも言える立場。将来的に黒田次長がその重責を担うことができるのか、注目が集まっている。

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