飲酒運転「店飲み後」に増加 摘発の半数超え、コロナ禍前の水準に

山形署がJR山形駅南側の駅南アンダーで行った飲酒検問。署員が呼気検査などを行った=15日深夜、山形市

 クリスマスや忘年会などで、飲酒機会が増える時季を迎え、懸念されるのが飲酒運転だ。飲酒場所別の摘発件数は、「店飲み」が半数以上と増加傾向にある。取り締まりの状況にもよるが、摘発総数としても増加傾向にあり、新型コロナウイルス禍前の水準まで戻りつつある。県警は各地の繁華街近くで一斉検問をするなど、引き続き取り締まりを強化する。

 県警交通指導課によると、道交法違反(酒気帯び運転)容疑など、今年の飲酒運転の摘発件数は11月末現在153件(速報値)だった。今月14日現在では163件(同)で、昨年同期比では14件多くなっている。忘年会シーズンに入った週末の今月15日には、県内一斉取り締まりを実施。全14署と県警高速隊などが各地で検問や巡回をし、この日は村山地方で1件摘発した。

 今年、変わりつつあるのが飲酒場所だ。今年11月末現在、摘発者の飲酒場所は51.6%が飲食店の「店飲み」で、自宅で飲酒する「家飲み」は26.8%となっている。コロナ禍のうち2020、21年は4割近くが「家飲み」だったが、その割合は減少し、コロナ禍前で、282人が摘発された19年と同様の傾向になりつつある。

 山形地区ハイヤー協議会(石川康夫会長)によると、今年は同地区のタクシー需要はコロナ禍と比べ、週末などは遅い時間帯に変化しつつある。2次会、3次会後の利用客が多く、深夜まで及んでいるという。同協議会は今月末まで飲食業界と連携し、山形市内の飲食店からタクシーを呼んだ場合、タクシー代が一律千円割引となる補助事業を展開している。

 一方で、混雑期や週末は運転代行業者やタクシーの待ち時間は長くなる。待ちきれずにハンドルを握ったり、車内で仮眠後に運転したりするケースも少なくない。同課の担当者は「飲酒したら運転はせず、タクシーなどの公共交通機関を使い、車を動かさなければならない場合は運転代行業者を活用すること。時間を空けてもアルコールは体に残っていることがあり、安易にハンドルを握らないでほしい」と、目を光らせている。

飲酒運転摘発件数と飲酒場所の内訳(2023年は11月末現在)

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