つなぐ思い、歌声に乗せ 廃部危機乗り越えた楯岡小合唱部が地域移行後初コンサート

合唱部の地域移行後初のコンサートで伸びやかな歌声を披露する楯岡小児童=村山市民会館

 創部43年を数える村山市楯岡小(井上敏春校長)合唱部が23日、同市民会館でクリスマスコンサートを開いた。地域団体などに運営を委ねる地域移行に伴って一時廃部が危ぶまれたが、合唱部OGや元教員らが結集し、今年10月に新体制となった。地域移行後、初の舞台で子どもたちは歌声を未来につなぐ思いを力強く表現した。

 1981(昭和56)年に創部し、2019、21年の全日本合唱コンクール全国大会小学校部門で金賞に輝き、今年9月のNHK全国学校音楽コンクール東北ブロックでは10年ぶりに銅賞を獲得した。現在は3~6年生の37人が所属する。

 教員の働き方改革などの一環で国が進める地域移行の流れを受け、今年4月に学校側から、外部に合唱部の運営を委ねていきたいと提案された。保護者会が新体制づくりに奔走した結果、同校の元教員や卒業生、保護者の計5人が指揮や伴奏、運営を引き受けてくれることになり、半年ほどで体制が整った。

 このうち、合唱部OGでボイストレーナーの佐藤暁(あき)さん(27)=村山市楯岡=は「(音楽関係の仕事に従事する)ルーツは合唱部にある。長く受け継がれてきた宝物のような歌声を守り続けなければと思った」と決断した理由を述べた。

 地域移行から3カ月足らずで迎えたこの日、多くの市民が見守る中、幕は上がった。子どもたちはクリスマスソングを皮切りに、世界平和を祈る曲目などを歌い上げ、合唱部OB・OGとの合同演奏、寸劇なども披露。あふれる感情を体いっぱいに表現し、透き通った聖なる歌声を響かせた。

 部長の6年西塚花菜(はな)さん(12)は「体制が変わり負担に感じる時もあったけど、新しい指導者と、新しい歴史を刻めたことがうれしい」と充実感をにじませた。

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