フェラーリF1はランキング3位に終わるも「本社上層部からの信頼を失ってはいない」とバスール代表

 フレデリック・バスールがフェラーリF1チームの指揮を執って1年が経ち、彼はフェラーリ会長のジョン・エルカーンとCEOベネデット・ビーニャから全面的なサポートを受けていると語った。このふたりは仕事において実践的なアプローチをとり、スクーデリアのパフォーマンスに注意を向けていることで知られている。

 バスールはマラネロで最近行われた一部メディアとの昼食会で、会長とCEOから全面的なサポートを得ていると繰り返し語り、オフィスが地理的に近いことから特にビーニャとは常に連絡を取り合っていると明かした。

 3人がフェラーリのシーズン全体のパフォーマンスを分析したかどうか尋ねられたバスールは、次のように答えた。「そのことについて話をするのに、チャンピオンシップが終わるまで待つことはなかった。フェラーリの強みは、日常的に議論が行われていることだ」

スクーデリア・フェラーリ代表フレデリック・バスールとフェラーリ社のジョン・エルカーン会長

 またバスールは次のように認めた。「シーズン序盤の我々のパフォーマンスに満足できる者は誰もいない。第一に、信頼性の点で問題が多すぎた。したがって、このこととパフォーマンス全般について最初に腹を立てたのは私だった」

「(だが)今は何よりもグループの反応に満足できる。自分たちが設定したことに向けて歩みを進めることができたという事実についてだ。私は統計はあまり好きではないが、間違いでなければ我々は過去9回のレースウイークエンドで5回ポールポジションを獲得し、何度かマックス(・フェルスタッペン)とバトルを繰り広げた。これは素晴らしい進歩だった」

 しかし、フェラーリは勝利とタイトルがすべてのチームだ。「我々が満足していないのは明らかだ」とバスール。「一番満足していないのは私であり、ビーニャ氏やエルカーン氏から3位で満足するべきではないと言われる必要はない。それははっきりしている。しかし同時に、私はチームに十分満足している」

 フェラーリを率いることは、他のどのチームを率いることとも異なる。バスールは、マラネロでのより高いレベルのプレッシャーを喜んで受け入れている。「ポジションにまつわるプレッシャーはどこにでもあると思うが、同時に小規模なチームでは異なるプレッシャーがある。なぜなら小規模チームを率いている者は、生き残るために苦労することがある。それに、1年の最後の2戦や3戦の結果がチームの存続にかかわると分かっていたら、簡単なことではないはずだ」

 バスールは、選手権で上位に位置するチームであっても、下位のチームであっても、厳しいプレッシャーにさらされているとして、明確な例を挙げた。

「2016年のブラジルのことを覚えている。マノーは目標を逃し、シーズンを11位で終えた。翌日彼らはチームの廃止を決めた。信じてほしいが、こうした状況でのプレッシャーは計り知れないものだ。フェラーリの場合、違いはプレッシャーが主に外部から、つまりファンからくることだ。しかしこれはポジティブなプレッシャーだ」

2023年F1第15戦イタリアGP  ホームストレート上に集ったファンと表彰式

 ベテランのバスールは、ティフォシの熱狂的なサポートに、大きな感銘を受けたと述べた。

「この点に私はとても驚いた。1年で最も困難だった週末のひとつのザントフォールトを終え、モンツァに到着したばかりのとき、すでに水曜日から我々を応援するためにファンが集っていた。チケットを持っていない子どもたちが、サーキットの外で我々を待っていて励ましてくれた。こうしたことは大きなエネルギーを与えてくれる。個人的には、表彰台で終わったモンツァの週末は本当に素晴らしかった。私はモンツァには40回ほど行っているのに、新たな感動を覚えた」

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