百回忌、中村彝しのぶ 有志ら10人命日法要 茨城・水戸

中村彝をしのび、墓前で手を合わせる有志ら=水戸市八幡町

茨城県水戸市出身の洋画家、中村彝(つね)(1887~1924年)の百回忌命日法要が24日、墓所がある同市八幡町の祇園寺で営まれた。彝を慕う有志ら10人が集い、早世した天才画家をしのんだ。

彝は旧水戸藩士の家に生まれ、陸軍幼年学校に入学するが、肺結核の宣告を受けて軍人を断念。その後、絵の道に転じ、白馬会や太平洋画会の研究所で頭角を現す。第8回文展(14年)で3等を受賞し、第2回帝展(20年)には盲目の詩人「エロシェンコ氏の像」を出品するなど傑作を次々と発表。活躍は20年にも満たないが、レンブラントやセザンヌ、ルノワールなどの影響を受けながら、独自の画風を確立した。

命日法要は、画業顕彰などを行う「中村彝会」が中心となって毎年行われてきた。2007年に解散となるが、同会元事務局長の阿王桂(あおうかつら)さん(69)=埼玉県=が彝を慕う有志に呼びかけ、墓参を続けている。

阿王さんは「来年は彝没後100年の節目。今後は、彝が生前育んだ素晴らしい人間関係にまで思いを巡らせながら、墓参りが続いてほしい」と話した。

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