故出口さん遺族 平和願った書家の遺作を諫早市へ寄贈 高齢者医療・福祉にも尽力

除幕する晴彦さん(左)と大久保市長=諫早市役所

 長崎県の高齢者医療・福祉に尽力した医師で、諫早市を創作の拠点に書家としても活躍した出口喜男さん=昨年4月、98歳で死去=の遺作「PEACE」(縦横各120センチ)が20日、遺族から同市に寄贈された。
 出口さんは視覚障害者の養護老人ホームや在宅介護支援のショートステイ事業、認知症高齢者の通所型デイサービス事業など、高齢化社会に対応した環境整備を実践。前衛書家(雅号・恵山)として作品を通じて世界平和、反核のメッセージを訴え続け、国内外の書展で受賞した。施設では書を通じた入所者の生きがいづくり、書道療法にも取り組んだ。
 寄贈したのは80代後半の作品で、出口さんの代表作の一つ。市は来庁者の目に触れる市役所内に掲示する。
 同市の医療法人和光会、社会福祉法人寿光会の理事長を務める長男、晴彦さん(71)が市役所で大久保潔重市長と除幕。「作品に込められた思いは安心、安らぎ。愛情をもって、市民に安心と安らぎをもたらすような市政を実践してほしい」と話した。

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