コロナ禍前から「増収」は59.1%、規模で差が拡大 中小企業は「人手の確保」が成長戦略のカギ

~ 「成長戦略に関するアンケート」調査 ~

経済活動がアフターコロナにシフトし、企業の戦略はコロナ禍の業績維持・回復から売上拡大へ変化している。東京商工リサーチは12月にアンケート調査を実施した。5年前の2018年と、コロナ禍を経た2023年の業績を比較すると、売上が伸びた「増収」企業は59.1%と、約6割あることがわかった。
今後の戦略では、売上拡大を「(追及)する」は約8割(77.8%)、「しない」は約2割(22.1%)あった。コロナ禍を経て、企業の戦略も売上一辺倒から変化をみせている。
売上高が伸びた「増収」要因は、「既存販売先への拡販に注力」(37.2%)と「新規販売先の開拓に注力」(33.4%)がそれぞれ3割を超えた。次いで、「人員増強」(29.3%)も約3割を占めた。今後の成長戦略は、「人員増強」(47.7%)が、トップの「新規販売先の開拓に注力」(52.2%)に次ぐ高水準となっている。また、増収要因と成長戦略のいずれも、「人員増強」と回答した割合は中小企業が大企業を上回っており、中小企業は特に、人材確保が成長への不可欠な要素と認識しているようだ。
今後の事業者支援は、増収に向けた販路拡大、新規開拓を柱にしながら、人材確保から円滑な廃業まで、それぞれのフェーズに見合った支援が重要になっている。


Q1.貴社の直近の売上高は、5年前(2018年前後)を「100」とすると、どの程度でしたか?

コロナ禍前を超える「増収」の企業が約6割

コロナ禍前の5年前(2018年前後)の売上高と比較し、「増収」の企業は59.1%(4,926社中、2,912社)と約6割を占めた。売上高のレンジ別で見ると、最多は10%以下の増収の「101~110」が21.3%(1,050社)だった。次いで、横ばいから10%未満の減収の「91~100」が17.9%(885社)、20%以下の増収の「111~120」の16.4%(810社)だった。
規模別では、「増収」だったのは大企業が63.7%(530社中、338社)に対して、中小企業が58.5%(4,396社中、2,574社)で、増収企業率は大企業が5.2ポイント上回った。一方、5年前と比べ売上高が8割以下にとどまったのは、大企業が5.8%(31社)、中小企業は12.1%(535社)で、中小企業が6.3ポイント上回り、中小企業ほどコロナ禍を引きずっていることを示す。

本調査結果の詳細はPDFファイルをご覧ください。

  • ※本調査は、2023年12月1日~11日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答4,926社を集計・分析した。
    ※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

本調査結果の詳細はPDFファイルをご覧ください。

「成長戦略に関するアンケート」調査[PDF:941KB]>

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